大麻合法州15に拡大、連邦レベルでの解禁は上院選の結果次第
11月3日の米大統領選挙と同時に行われた住民投票の結果、新たに4州が大麻を合法化した。これにより、アルコール飲料などと同様に、大麻を合法的に吸える州は15州に拡大した。ニューヨーク州も、クオモ知事が合法化に前向きと報道されており、近いうちに合法になる可能性がある。
レッド・ステートも
今回の住民投票の結果、合法化が決まった州は、ニュージャージー、アリゾナ、サウスダコタ、モンタナの4州。いずれの州も、事前の世論調査では合法化に賛成する有権者が多かったが、予想通りの結果となった。
すでに合法化している州は、アラスカ、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、ネバダ、コロラド、ミシガン、イリノイ、マサチューセッツ、メーン、バーモントの11州。首都ワシントンも合法化している。
アラスカを除いた10州は、今回の大統領選でバイデン氏が勝利を収めた「ブルー・ステート」だが、新たに合法化を決めた4州のうち、サウスダコタとモンタナはトランプ氏が勝利した「レッド・ステート」。大麻を容認する世論が、リベラルな地域だけでなく、保守的な地域にまで広がっていることをうかがわせる。
また、近く合法化される可能性のあるニューヨークを含めると、大麻を合法的に吸える州は、国際的な観光地や日本人の留学生・駐在員が多く住む都市を抱えているところが多く、日本人が大麻に汚染されるリスクが高まっているとも言える。
連邦レベルでの合法化は未定
今回の大統領選で民主党のバイデン候補が共和党のトランプ氏に勝ち、かつ、同時に行われる連邦議会選挙で民主党が上下両院とも多数派を占める「ブルーウェーブ」が起きれば、連邦レベルで大麻が解禁される可能性が高まると以前書いたが、ブルーウェーブが起きるかどうかは、ジョージア州の上院選の結果待ちになりそうだ。
定数100の上院は、今回の選挙の結果、今現在、民主党、共和党ともに48議席となっている。最終結果が出ていないのは、アラスカ、ノースカロライナのそれぞれ1議席と、ジョージアの2議席。このうち、アラスカは共和党候補がリード、ノースカロライナも共和党候補がわずかにリードしている。
補選も含めて2議席が争われているジョージアは、州の規定で、どの候補者も得票数が50%に達しない場合、決選投票が行われることになっており、来年1月5日に改めて投票が行われる見通しだ。このため、それまでは、どちらの党が上院の多数派になるかわからない状況だ。
上院は憲法により、副大統領が投票権を持った議長を兼ねる。このため、新たに招集される上院議会では、法案の票数が50対50になった場合、ハリス副大統領が最後の1票を投じることになる。そうなれば、自身が上院議員時代に提出した大麻解禁法案を、最後に自身の1票で可決させるという劇的な展開になる可能性もある。
下院は、民主党が引き続き多数派になることが、ほぼ確実だ。
連邦レベルでの大麻解禁の動きについては、以前書いた「米大統領選、ブルーウェーブで大麻解禁へ 日本、水際対策が急務」、また、米国で大麻解禁が進む詳しい背景については、「米国はなぜ大麻解禁に突き進むのか」「オバマ氏長女に大麻吸引疑惑も擁護論が圧倒」を参考にしてほしい。