叩かれた朝日新聞の権力すり寄りが始まったか?
フーテン老人世直し録(111)
神無月某日
5年前に「『世論が大事』というデタラメ」、4年前に「世論調査を信ずるバカ」というブログを書いた。いずれも世論調査の結果を「民意」と考える愚かな日本の民主主義を批判したものである。
その頃、日本記者クラブが「世論調査」をテーマに研究会を行い、朝日新聞社の世論調査担当者が「世論調査で分かるのはトレンドだけで正確な世論は反映されない」と語った。世論調査の数字そのものは世論を反映していないが、世論の変化は捉える事が出来ると言ったのである。
しかしそう言いながら日本のメディアはその後も世論調査の数字をあたかも世論を反映しているかのように報道し、国民は性懲りもなくそれに惑わされてきた。フーテンが世論調査を信ずる気になれないのは、第一に世論調査を専門に行う会社の調査ではない事である。
アメリカには世論調査専門会社があり、世界中に事務所を置いて種々の調査をしているが、専門会社であるから調査の信用に傷が付けば倒産する。日本のメディアが片手間に行っている調査とは訳が違う。
第二に朝日や読売をはじめとする我が国のメディアにはねつ造報道の体質がある。それが根本から見直されたとは到底思えないから信用できない。調査データを「微調整」と称して都合よく改ざんする体質が抜けていない。
第三にかつては1500万円程度の予算をかけ面談で行われた調査を、今では100万円程度の予算で下請けに出し、面談ではなく電話を使って調査している事である。この調査は固定電話しか対象にしておらず、従って電話に出る人間には偏りのある可能性があり、しかも電話なら質問の仕方でいくらでも誘導が可能である。
以上の理由でメディアの世論調査など取り上げる気にもならないでいたが、ここにきて安倍内閣の支持率を巡り朝日新聞社と他社の調査結果が真逆になっている事に興味を持った。各社の世論調査では、女性閣僚がダブル辞任した後の安倍内閣の支持率は軒並み下落したが、朝日だけは支持率が3ポイントも上昇しているのである。
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