米軍艦と複数の商船が紅海で攻撃受ける イエメンのフーシ派が実行主張 中東紛争拡大が懸念
米国防総省は3日、中東の紅海で米海軍ミサイル駆逐艦「カーニー」と複数の商船が攻撃を受けたと発表した。AP通信や米紙ニューヨーク・タイムズなど米メディアが報じた。イエメンの親イラン武装組織フーシ派は、イスラエルと関係があるとされる船舶2隻への攻撃を主張したが、米海軍艦艇を標的にしたことは認めなかった。
同通信は「この攻撃は、イスラエル・ハマス戦争に関連した中東での一連の海上攻撃の大幅なエスカレーションをもたらす可能性がある」と報じている。
米国防総省は同通信に対し、「紅海でのカーニーと商船への攻撃に関する報道は承知しており、情報が入り次第提供する」と述べたという。カーニーがどれほどの損害を被ったかは明らかにされていない。また、英軍がこれに先立ち、紅海で無人機攻撃と爆発の疑いがあると発表したが、詳細は明らかにしなかったという。
同通信によると、米国防総省は攻撃元を明らかにしなかった。しかし、フーシ派のヤヒヤ・サリー報道官はアデン湾と紅海を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡を航行中の2隻の船舶への攻撃を認めた。同報道官によると、最初に攻撃された船はバハマ船籍のばら積み貨物船「ユニティ・エクスプローラー」で英国企業が所有している。その役員の1人にイスラエル在住のダン・デヴィッド・アンガー氏が含まれているため、標的になったとみられる。2隻目はパナマ船籍のコンテナ船「ナンバー9」で、独立系船舶管理大手ベルンハルト・シュルテ・シップマネージメントに関連しているという。
同報道官は「イスラエル軍がガザ地区での侵略を止めるまで、イスラエル船舶が紅海とアラビア海を航行することを阻止し続ける」と述べた。
米当局者は匿名を条件に同通信の取材に応じ、攻撃はイエメンの首都サナアで同日午前10時ごろに勃発し、最長5時間続いたと述べた。また、別の米当局者はカーニーが攻撃にさらされる中、少なくとも1機のドローンを迎撃したと語ったという。
紅海ではフーシ派が船舶に対して一連の攻撃を開始している。フーシ派はこれまでもハマスとガザ地区で戦争を繰り広げているイスラエルに対して繰り返して弾道ミサイルや無人機による攻撃を行っているほか、11月8日には紅海で米軍の無人偵察機「MQ9」を撃墜した。11月19日には紅海で日本郵船がチャーターする貨物船を拿捕、イスラエルへの攻撃継続を表明していた。
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