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選挙が怖い自公は軽減税率茶番劇で混乱を狙い消費増税先延ばしを画策する

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(191)

極月某日

軽減税率を巡る自公協議は食料品全般を対象とすることで大筋合意した。自民党税制調査会は公明党と官邸に押し切られ、かつて財務省が主導した「税と社会保障の一体改革」を看板とする自公民の三党合意も否定された。それは社会保障のサービス低下を招く懸念を生じさせている。

民主党は自らの主張を全否定された訳だから、通常国会でそのことを批判する事になるだろう。そこが安倍政権の狙いである。民主党が批判すればするほど、国民の目は「消費税の制度設計」にくぎ付けになる。議論がすったもんだすれば、国民から安保法制強行可決の記憶が薄れていく。

そして安倍政権は選挙直前に消費増税先送りを発表するのである。折しも米国のFRBは今月中に利上げを発表すると見られ、ドルの米国還流が起これば新興国経済は混乱し、世界経済の見通しを不透明にする。消費税の制度設計を巡る議論が混乱し、世界経済の見通しも不透明になれば、それを理由に消費増税を見送る。そうすれば国民は選挙で安倍政権を支持すると考えている。

それはただ選挙に勝つためだけの方策で、日本国家の将来を見据えた政治とは無縁なのだが、来年の選挙が怖くて仕方がない自公政権にとって、それ以外に勝算を確実にする方法はない。軽減税率を巡る今回の自公協議はそのために仕組まれた茶番劇の第一弾だとフーテンは見ている。

今回の自公協議は、そもそも消費税が何のためかの議論から離れ、選挙を意識した政党の党利党略に利用する材料となり、それが国民を目先の利益に誘導し、国を滅ぼす方向に向かわせる。竹下政権が消費税を導入する頃、政治取材の前線にいたフーテンはそのことを痛感する。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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