米国の「調教」と「圧力」が生み出した慰安婦問題の最終合意
フーテン老人世直し録(193)
極月某日
仕事納めの28日、日韓両政府は慰安婦問題の最終解決に合意したと発表した。日韓外相が共同記者会見を行って合意内容を発表し、さらに安倍総理と朴槿恵大統領が電話会談を行い、この合意が日韓の関係改善につながるよう協力する事を確認した。
この日、韓国では元慰安婦の支援団体が「国民を裏切る外交的談合」と批判する声明を出し、最大野党の「共に民主党」も「絶対に受け入れられない」と非難した。日本でも保守派から批判の声が挙がり、「日本のこころを大切にする党」の中山恭子代表は「大いなる失望」を表明、一方保守派の批判を和らげるためか安倍総理夫人がこの日に靖国神社を参拝した事を公表した。
米国ではケリー国務長官が「日韓両政府は慰安婦問題が『最終的かつ不可逆的に解決した』と明言した。合意を歓迎する」と高く評価し、ライス大統領補佐官も「難しい問題を最終的に解決した事を称賛する」との声明を出した。一方、中国は事態を注目するが評価には慎重な構えを見せている。
隣国でありながら首脳会談を出来ずにいた日韓両国が、先月2日の初の首脳会談以降、最大の懸案であった慰安婦問題で急速に進展を見せた背景をフーテンなりに考えてみる。
首脳会談を拒んできたのは朴槿恵大統領である。初の女性大統領として朴槿恵氏は慰安婦問題を最重視する立場にいた。ところが日本の総理は慰安婦問題で謝罪した河野談話を否定する立場の安倍晋三氏である。慰安婦問題で折り合いがつかない限り日韓が協力関係を構築する事は難しかった。
これまでの歴代韓国政権は、スタート時には日本との協力関係を重視するが、政権が終わりに近づくと竹島問題や慰安婦問題を材料に国民の反日感情に訴え、支持率を維持する傾向があると言われる。ところが朴槿恵政権は当初から反日姿勢を強め、それが任期が1年余となった終盤でようやく協力関係に舵を切ったのである。
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