まるごと野菜の超濃厚ペーストで地球にも身体にもやさしいカラフルなパンが誕生
あざやかなピンク、オレンジ、グリーンやイエローのカラフルなパンがある。この色は皮付きのビーツ、芯まで余すところなく使ったトウモロコシ、さやまで使ったえんどう豆から生まれている。
「ホテル ザ ノット 東京新宿」のベーカリーとレストラン「MORETHAN」(東京都新宿区西新宿4丁目31-1)が、8月31日の野菜の日を機会に2023年8月28日から9月10日までの期間、ミツカングループのZENBとコラボした丸ごとの野菜ペーストを使ったパンを販売する。
ZENBはミツカングループで「10年後の人と社会と地球の健康」を考えるプロジェクトチーム。2019年に野菜を丸ごと使った「ZENBペースト」を発売している。独自の技術により野菜の皮や芯、さや、種、わたなど今までは捨てられていた部位まで余すところなく使うことでフードロスを軽減し、栄養も丸ごとバランスよく摂取できるというペーストだ。ZENBペーストには丸ごとの野菜の他は、オリーブオイルしか使われていない。種類はトウモロコシ、ビーツ、えんどう豆、パプリカ、枝豆などがあり、色あざやかで栄養も質感も濃厚だ。
ただこれらはそのまま食べたりパンに塗るには濃厚すぎて難しいので、料理のソースの一素材として用いられたりパン生地に練り込まれたりして使われる。厨房で茹でたり蒸したり、なめらかになるまですり潰すのはかなりの時間と手間を要するだろう。ZENBペーストはレストランでも有効活用している人が増えているという。
今回店頭ではZENBペーストを用いたパンの他に、直接パンに塗って楽しむことができる新商品「ZENBスプレッド コーン&ナッツ」「ZENBスプレッド ビーツ&ナッツ」(税込1,480円)も販売される。これはZENBペーストにアーモンドとカシューナッツ、豆乳などを加えて口あたり良く食べやすくしたものだ。乳製品等動物性食材を用いず、添加物を一切使用していないところは変わらない。
ラベルを見て唯一気になることがあるとしたら野菜が外国産であることくらいだが、皮やさやまで使用するので農薬の残留しない安全な野菜で安定供給できるものを厳選しているためだという。ZENBはすべての原料について契約書・保証書で食品衛生法の残留農薬等ポジティブリスト制度の合致を確認しており、生産地での栽培管理状況も確認している。
栄養価はどうだろう。たとえばトウモロコシは甘みが強いスイートコーンを選び、塩を加えているが、有塩バターに比べれば塩分50%オフ、脂質30%オフでたんぱく質は17倍とホームページに掲載されている。また、芯に含まれる食物繊維は、実の部分の約2.7倍。ビーツに関しては皮に含まれるポリフェノールは実の部分の約2.6倍という。
栄養バランスの偏りがちな現代の食生活で、新しいパンのお供の誕生というわけだ。これらはパンにそのまま塗って食べるのはもちろん、さらにそこに具材をのせてタルティーヌ(オープンサンド)にしたり、野菜と一緒にサンドしたりすれば、栄養はもちろん、見た目に美しい惣菜パンになる。
ビーツペーストを練り込んだピンク色のベーグルやプレッツェル、パプリカペーストを練り込んだオレンジ色のリュスティックなど、色彩豊かで美しいが、見た目だけでなく味も満足させてくれるのは、数年前から「SUNDAY VEGAN」の催事営業で野菜のパンに力を入れてきたMORETHANならではだ。
今回はパン生地以外でもサンドイッチの具材としてパプリカペーストで作ったヴィネグレットでマリネしたキャロットラペ(ニンジンのサラダ)が新しい感覚だった。ベーカリーの厨房でなかなかここまで手の込んだことはできない。ペーストは感性でいろいろな使い方ができるだろう。野菜料理の楽しさも感じさせてくれるラインナップだ。
野菜を丸ごと使ったZENBペーストは人手不足や長時間労働の問題を抱えるベーカリーの厨房の救いの食材となるかもしれない。
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