ワールドシリーズの満塁本塁打は、今年のフリーマンとボルピーが史上22人目と23人目。同年に2人は…
10月29日、アンソニー・ボルピー(ニューヨーク・ヤンキース)は、ワールドシリーズ第4戦の3回裏に、2死満塁からホームランを打った。
ワールドシリーズの満塁本塁打は、見落としがなければ、第1戦のフレディ・フリーマン(ロサンゼルス・ドジャース)が史上22人目、ボルピーは23人目だ。2本以上を記録している選手は、見当たらなかった。
この23人のうち、満塁本塁打が試合の勝利につながらなかったのは3人だ。1956年の第2戦のヨギ・ベラ、1988年の第1戦のホゼ・カンセコ、2021年の第5戦のアダム・デュボール(アトランタ・ブレーブス)がそう。また、シリーズが終わっていない今年の2人を除くと、21人中6人は、そのシリーズでチームが優勝を逃している。こちらは、1960年のボビー・リチャードソン、1962年のチャック・ヒラー、1964年のジョー・ペピトーン、1988年のカンセコ、1992年のロニー・スミスに、2019年のアレックス・ブレグマン(ヒューストン・アストロズ)だ。
1964年のシリーズは、どちらのチームにも、満塁本塁打を記録した選手が1人ずつ。第4戦にセントルイス・カーディナルスのケン・ボイヤー、第6戦はヤンキースのペピトーンが打った。今年のここまでも、各チーム1人が満塁本塁打という点は、60年前と同じだ。この他に、1956年と1987年は、同じチームの2人が満塁本塁打を記録した。
ちなみに、1970年の第3戦に満塁本塁打のデーブ・マクナリーは、野手ではなく投手だ。この試合は、3失点(自責点3)の完投で白星を手にした。満塁本塁打を打ったのは、6回裏。それにより、スコアは、4対1から8対1となった。
今年の場合、フリーマンの満塁本塁打は、ドジャースに勝利をもたらした。ワールドシリーズ史上初のサヨナラ・グランドスラムだ。一方、ボルピーの満塁本塁打は、その時点で試合の勝敗を決めたわけではないが、ヤンキースにとっては、ここまでのシリーズで最も価値ある一打、と言っても過言ではないだろう。
ヤンキースは、シリーズ最初の3試合とも黒星を喫し、第4戦を迎えた。そして、1回表に、フリーマンの2ラン本塁打で先制された。1回裏と2回裏のどちらも、二、三塁の場面がありながら、逆転することも追いつくこともできず、アレックス・バーデューゴの一塁ゴロで挙げた1得点にとどまっていた。
ボルピーは、グランドスラムと遊撃の好守に加え、2点リードの8回裏には、1死走者なしから二塁打を記録した。一塁を回った時点では暴走のように見え、実際、レフトのテオスカー・ヘルナンデスからの送球を受けた二塁手のギャビン・ラックスは、ボルピーがベースに達する前にタッチした。だが、滑り込んでいったボルピーがラックスのグラブを弾き返す格好となり、ボールはグラブからこぼれ、勢いよく転がっていった。
その後、ボルピーは、四球で出塁したオースティン・ウェルズとともに重盗を決め、バーデューゴが二塁へ打ったゴロで、ラックスの本塁送球よりも早く、ホームインした。さらに、ヤンキースは、そこからの3連打、グレイバー・トーレスのホームラン、ホアン・ソトの二塁打、アーロン・ジャッジのシングル・ヒットにより、リードを7点に広げた。
ワールドシリーズ最初の3試合は、ボルピーもジャッジも、12打数1安打だった。
第5戦の先発投手は、ヤンキースがゲリット・コール、ドジャースはジャック・フレアティだ。彼らは、第1戦に投げ合い、コールは6.0イニングで1失点(自責点1)、フレアティは5.2イニングで2失点(自責点2)を記録した。
なお、3勝1敗/1勝3敗となった過去のシリーズについては、こちらで書いた。