「シャビ・バルサ式可変システム」の光陰。ウノセリスモの果てにあるもの。
「もっと良いフットボールを見せたい」
これまで、度々、シャビ・エルナンデス監督はそのように語ってきた。美しく、勝つ。ヨハン・クライフが植え込んだバルセロナのDNAは、現在にも脈々と受け継がれている。
ただ、問題は、その具体性だ。
「良いフットボールとは、何か? 良い判断をして、すぐにドリブル突破を仕掛けるのではなく、忍耐を持って攻める。サイドに起点をつくり、時に後ろに戻してやり直す。インサイドで数的優位をつくって、ハーフスペースを攻略する。いいタイミングで、スペースを狙う。私はそういうものだと考えている」とはシャビ監督の弁だ。
バルセロナは昨季、11試合で、「1−0」の勝利を手にしている。ウノセリスモ(イチゼロ主義)と揶揄されるスタイルで、タイトルを獲得した。だからこそ、今季、何らかの改善と成長を見せたかった。
■理想の追求
昨季、シャビ・バルサは2つのタイトルを手中に収めている。スペイン・スーパーカップとリーガエスパニョーラで優勝を果たした。
スペイン・スーパーカップでは、決勝でレアル・マドリーを3−1で下している。シャビ監督が試合後に「理想の試合だった。すべての試合で、あのようにプレーしなければいけない」と語るほどの出来だった。
確かに、シャビは理想を追っていると言える。
あの試合は、今季に通ずるところがあるからだ。
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■偽ウィングの採用
決して戦術的なバリエーションが豊富だとは言えないシャビ監督だが、大事にしているものはある。その一つが、「偽ウィング」だ。
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