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「シャビ・バルサ式可変システム」の光陰。ウノセリスモの果てにあるもの。

森田泰史スポーツライター
ドリブルするペドリ(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

「もっと良いフットボールを見せたい」

これまで、度々、シャビ・エルナンデス監督はそのように語ってきた。美しく、勝つ。ヨハン・クライフが植え込んだバルセロナのDNAは、現在にも脈々と受け継がれている。

ボールをコントロールするギュンドアン
ボールをコントロールするギュンドアン写真:ムツ・カワモリ/アフロ

ただ、問題は、その具体性だ。

「良いフットボールとは、何か? 良い判断をして、すぐにドリブル突破を仕掛けるのではなく、忍耐を持って攻める。サイドに起点をつくり、時に後ろに戻してやり直す。インサイドで数的優位をつくって、ハーフスペースを攻略する。いいタイミングで、スペースを狙う。私はそういうものだと考えている」とはシャビ監督の弁だ。

バルセロナは昨季、11試合で、「1−0」の勝利を手にしている。ウノセリスモ(イチゼロ主義)と揶揄されるスタイルで、タイトルを獲得した。だからこそ、今季、何らかの改善と成長を見せたかった。

■理想の追求

昨季、シャビ・バルサは2つのタイトルを手中に収めている。スペイン・スーパーカップとリーガエスパニョーラで優勝を果たした。

スペイン・スーパーカップでは、決勝でレアル・マドリーを3−1で下している。シャビ監督が試合後に「理想の試合だった。すべての試合で、あのようにプレーしなければいけない」と語るほどの出来だった。

確かに、シャビは理想を追っていると言える。

あの試合は、今季に通ずるところがあるからだ。

(全2484文字)

■偽ウィングの採用

決して戦術的なバリエーションが豊富だとは言えないシャビ監督だが、大事にしているものはある。その一つが、「偽ウィング」だ。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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