森山未來のKOBE愛を市長が絶賛!三宮再整備ビジョンで公開トークショー【神戸市】
秋めいてきた日曜の昼下がり、東遊園地で行われた「KOBE AUTUMN FESTIVAL2023」には大勢の人が集まり大賑わい。
チアリーディングやファッションステージ、ジャズライブなど様々なステージがある中で、神戸の都市整備に関するトークショーが行われました。神戸の皆さんは、もちろん興味ありますよね。
神戸市長の久元喜造さんと、ダンサーであり俳優の森山未來さん、都心再整備デザイナーの長濱伸貴さんを交えて神戸のこれからについて話していたのですが、その内容の一部を要約してお伝えしますね。
<神戸とのご縁、神戸の街の印象や想い、都心三宮景観ビジョンについて>
【市長】「三宮再整備構想」により、都心 (新神戸から北野、三宮周辺、元町、ウオーターフロント、ハーバーランド) を長く整備してきましたけれど、他のまちと比べたら少し魅力に欠ける部分があったので、そこで更に思い切った整備に取り掛かることにしました。
2021年にはさんきた通りがかなり大きく変わり、今後できるバスターミナルの上には図書館やホールができる予定です。そこには屋上庭園を作って摩耶、六甲の山並みが見えて後ろを振り返ると海がキラキラと見えるような、神戸らしい空間をと考えています。
ただ新しいものをというよりは、例えばさんきた通りも「綺麗になる部分」と「昭和レトロが残る部分」があるように整備したり、元町の乙仲通やトアロードウエストなどの古き良き神戸の雰囲気を残しながら。
元町の「有楽」は防災上どうしてもしかたなくて…僕も好きだったんで寂しいんですけどね。いいものを残しながら、新しい神戸と融合させる形でまちづくりを進めていければと思っています。
【デザイナー】目指しているのは「ウオーカブルなまちづくり」、つまり歩いて楽しめるまちを作ることです。
三宮の現状は、倉庫や物流の拠点で道路が凄く便利な街になっています。車のための空間が43%でほぼ半数、人のための空間 (歩道とか広場とか) が12%、これをどう変えていくのかが非常に大きなテーマです。
「三宮プラッツ」「神戸パークレット」なども先駆けて始まっていますが、車のための空間をもっと人のための空間に変えていく予定です。
もう一つは、ここ東遊園地もそうですが更に人の集まる場所へと変えていく。このようにカフェを作ったり、人のための空間として質も上げていくと。そうやって皆さんが歩いて楽しいと思える街にしていこうと思っています。
歩くことで人も健康になり、お店も需要が増えます。皆さんにとっても街にとってもいいことなので、数十年かけてそれをやっていく計画です。
【森山】僕は神戸出身なのですが、東京に出たりいろんな国にも旅をしてきた中で改めて神戸を観察してみたところ、「風の街だ」と感じました。
六甲おろしの風が吹く街。そして東西の流通性、明治以降も色んなものが流入して神戸を拠点にいろんな文化が花開いてきた、そんな流動性が自分の活動の仕方に合うなと。
今現在、北野にある「外国人マンション」と呼ばれる建物を再利用して「アーティスト・イン・レジデンス神戸」という施設を立ち上げて運営しています。
自分自身もアーティストとして国内外で「アーティスト・イン・レジデンス」に関わってきたのですが、神戸の新鮮でインスピレーションに満ちた場所をアーティストさんに提供し、そういう所から作品を作って頂けたらと思っています。
北野という場所の多様な文化や、空気の流れ、風の流れを更に作って、流動性を高めていきたいなと。
<都市におけるアートや、地域との繋がりについて>
【森山】アートとひとことで言っても、人それぞれのイメージがあると思います。例えば「六甲ミーツ・アート」のように、アーティストが作品を作ってそれを見るという関係性のものがありますよね。
その他にも「デザインは問題を解決し、アートは問題を発見する」というものもあります。アーティストの視点を通して問題を発見していくことができる、これもひとつアートの力ですね。
それが都市と言うものにどう関わるのかということも考えられますし、物理的なものだけがアートなのではなく、コミュニケーションを考えるのもひとつ、アートの可能性としてあります。
そういったことも考えながら「アーティスト・イン・レジデンス神戸」を運営している側面もあるので、うまく都市や地域とも関わっていきたいなと思います。
【デザイナー】昔から神戸は港町で、物が入ってくる「物が主役」な街でした。ですが現在は「人が主役」な街へ変わりつつあります。
ハード整備はもちろん必要なのですが、例えばこの東遊園地のような場所でも使い方が分からないとかどうやったら楽しめるかなども、アートの力によって新しい切り口としてまずやってみる、というのが次のアートの在り方かなと思ってます。
今まではオブジェなどいわゆる物的なアートはありましたが、人の活動まで含めてアート、街の使い方みたいなのをアートとしてやって行くということは、決して皆さんに遠い話ではなくて皆さんができるアートだと感じています。
神戸に住む人達が「やってみたい」と思うことをアートを通じてやってみる、デザインで定着、解決して行くという街の循環ができると「新しい神戸」というものが出来上がる。もう既に始まっているんですよね、今こちらから会場を見ていると新しい神戸があるんです。
そういうことがアートきっかけでできていく街となっていくと、凄くいいのではと思います。
【市長】今まで森山未來さんと話す機会が何度かあったのですが、神戸に対する愛情がものすごい、半端ではないんですよね。世界を回ってこられた経験から様々な発見があり、それがアートに繋がっているのだろうと思います。
神戸はどんな街でありたいかというと、アーティストの方々にとって神戸に来たら何か新たな発見がある、そういう街ではないかと。
高層タワーマンションのビル風が通り抜けるような、無機質な街にアーティストの皆さんは来たいと思うだろうか。いつ行っても神戸には新しい発見がある、そう思って2度、3度と来てもらうために、ソフトとハード両方を大事にしたまちづくりをやっていく。
その時に大事になっていくのは自然だと思います。六甲山や摩耶山、里山、茅葺の文化など。守るものは守る、新しく作るものは作る、ということが大事なのではと思います。
<三宮再整備についての期待や展望は?>
【森山】ハードというものに対してソフトをどう作っていくかですよね。側だけ作ってもしょうがないので。「モノ、コト、トキ」とさっきおっしゃっていましたが、僕は「ヒト、モノ、コト、バショ」という感覚を持っていて、場所=人だと思うんですね。
アーティストが神戸に来て、誰と出会ってどういう経験をするのか、それによって出会いが場所になっていく。人が場所であるという考え方が重要だと思っています。
再整備を経て、三宮の中にどういう出会いの場所を創出していくのか。しっかりとコミュニケーションを取りながら、バショを作っていただきたいと思っています。
【デザイナー】変わらないものとして六甲山や海がありますが、変わっていくとしたら皆さんです。「神戸の人は神戸愛が強い」、それを信じるしかないと思っていて。神戸の人が好きに色々やること、そんな皆さんの暮らし方が「神戸らしさ」になるんです。
それを体験したくて海外からも見に来るような「場所」、つまりローカルをいかに神戸が作っていけるか。皆さんが作っていく、そしてそれを支えるようなハードを作っていくという循環が、これからの神戸の魅力を作っていけるかの分かれ道なのかと。
そこにアートというものがひとつの作用としてあって、こういった場所がサポートしていくようなことになって行けばいいなと思います。
【市長】三宮に新しい施設がどんどん建って変わっていっているのですが、それと同時に神戸にある古い空き家が少しづつ変わり始めてきています。
古い町屋、郊外も含めて数十年前や百年前に建てられたような古い民家が、手を加えられてデザイン性の高いものに形が変わっていっています。街中の建築家、デザイナー、アーティストなどの手によって今まで使われてきていなかった大事な資産が、そうやって市民が参加することで生まれ変わる。
神戸の人たちが何か面白いことをやっているなと、そういう雰囲気になって行けばと思います。行政の我々も、面白いことを市民の皆さんや民間企業ともやって行こうと。そしてアーティストの皆さんの力もお借りしてやっていくことで、いい循環になっていく。
「BE KOBE」、神戸の魅力は人の中にある。それが具体化していくような動きがこれから生まれていったらいいなと。大変楽しみにしております。
KOBE AUTUMN FESTIVAL 2023
KOBE AUTUMN FESTIVAL2023情報 (外部リンク)
神戸の都心再整備 トークショー 他
場所:兵庫県神戸市中央区加納町6丁目4 東遊園地
日時:2023年10月1日
※このイベントは終了いたしました