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森山未來さんがいま、神戸でやっている面白い活動。あなたも関わってみたくなるかも!【神戸市】

Hinata Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

森山未來さんといえば、神戸市民にとってメディアで見かける機会の多い俳優さんですよね。雑誌や市の広報関係、サンテレビ番組のナレーションなどで、身近に感じられている人も多いかと思います。

今や神戸の顔と言ってもいいぐらいの森山さん、神戸でどんな活動をされているのか興味津々ですよね。今回はご縁あって森山さんにインタビューさせてもらえることになり、ある場所へと行ってきました。

北野にあるその空間は、お庭に桜やいろんな種類の木が植えられた雰囲気ある古い外国人住宅。海も山も、神戸の街並みも見渡せる風通しの良い場所にあります。

森山さんが中心となって、北野で一年前からやり始めている「アーティスト・イン・レジデンス神戸(AiRK)」というものをご存知でしょうか。ここはその施設なのだそうですよ。

アーティスト・イン・レジデンスとは、ごく簡単に言うと国内外から来たアーティストが滞在しながら制作活動を行えるように用意された宿泊施設のことです。

暮らすように滞在できる空間があることで神戸を肌で感じ取れ、それは作品にも深く反映されると言います。キッチンで森山さんがコーヒーを淹れている姿からも、ここに滞在するアーティスト達のリラックスした姿を想像することができました。

「神戸にはさまざまなジャンルの文化施設がたくさんあります。そこに国内外からアーティストが活動しに来るのですが、レジデンス(宿泊施設)がなくて困っていたというのが以前からあって。そういったアーティストたちを受け入れられるレジデンスとしてAiRKの運営を始めました」

「AiRKの活動を通じて地元の方々とアーティストの繋がりも創出していきます。さらに、各施設が独自でやっていけるからこそ横の繋がりが弱いという現状の中で、あえてAiRKにスタジオやアトリエなどを持たないことで、施設同士の連帯が強まっていくと考えています」

「例えば新長田のNPO法人 DANCEBOX。ここまでコンテンポラリーダンスに特化している施設は日本でも少ないというか、ここぐらいかも。こういった施設の活動が外に広がっていく術を見つけていきたいし、三宮の港湾地区にあるデザイン・クリエイティブセンター(KIITO)ももっと神戸文化の発信地としてのハブになるべき場所」

「神戸で行われていることの強さを外に出す為に、お互いがうまく連携してアウトリーチすることが重要なのではないか」森山さんは、以前から持ち続けている想いをそう語ります。

森山さん自ら、ダンサーとして世界各地のアーティスト・イン・レジデンスを経験してきた中で、各国の環境はそれぞれに豊かなものだったと言います。

「兵庫県内では豊岡市の『城崎国際アートセンター』という、有名なアーティスト・イン・ レジデンスにも滞在したことがあります。香港では高層ビルの中にあるダンスセンターの別階に宿泊施設があって、一般の人たちがレッスンをしているスタジオの横で作品制作をしたり。そこも(自分たちと同じく)民営でやっていました」

「フランスでは、ローカルな地方にあるお城をリノベーションした施設だったり、パリ郊外の墓跡工場跡を使った広大な敷地内では日がなサーカスアーティストやダンサーがいたり、演劇の練習などが行われているなどレジデンスの雰囲気は場所によって様々です」

そんな世界的な視点で、アートの持つ重要性や可能性をリアルに感じてきた森山さんだからこそ、アーティスト・イン・レジデンスが神戸にも必要だと感じられたのかもしれません。

「アーティストがここで生活をし、コミュニケーションが生まれることによって地元の人達の意識も変わってくると思います。内外から人が集まり、アートに関わる人口も増えていけば雇用も増える、そうなると神戸の中で面白いアーティスト同士がコラボしたりといったことも増えていくと思うんです」

先日の報告会で関係者が沢山集まった時、森山さんから「どうやって横で繋がっていけるかを、みんなで話したい」という言葉がありました。神戸という場所だからこそできることがあるのではと森山さんは感じています。

それぞれのやり方もあるので、連携といっても難しいものではあるという前提の元に、その難しさをアートというものを通してさらりと超えていけるような可能性を感じました。

そしてきっとそれは、森山さんだからこそ呼びかけられるようなことだという気もします。とにかくアートという枠を超えて、とても大きな試みに向かっているように思えました。

「10年後ですか?その頃には、(自分は)運営側ではなくアーティストとして参加していたいですね。理想としては3年ぐらいで運営を安定させたいし、その後はいちアーティストとしても神戸での作品制作に取り組んでいきたいです」

「アーティスト・イン・レジデンスは、構造として目に見えにくいものです。その基本的な考え方は、内省的な時間をアーティストに提供するというものであり、そこを透明化することは大事とは思っていません」

「そういう意味では、やっていることの結果は1年や2年という短期的な目線では見られないものでもあって。でも地道に続けていくことで、15年後、30年後には確実に文化が根付いていく。そんな長期的なスパンで見てもらえたら嬉しいです」と、森山さん。

この日もレジデンスには、元町で活動するC.A.P(芸術と計画会議)が招いたドイツ・ブレーメンのアーティスト達が多数宿泊中。お天気も良く、散歩に出たところでご近所らしき人と立ち話をしているほのぼのとした姿が見られました。

フランスの映画監督さんが滞在した時にも、神戸で一部だけ映画を撮影する予定だったそうなのですが、ここで生活することで全撮影を神戸ですることに決めたというお話も素敵でした。

今年度は国内外から33名のアーティストを受け入れたこのレジデンス。来年度からは、AiRKの自主企画としてもアーティストを呼び入れていきたいといういう想いもあるそうです。

「誰でも気軽に参加できるパーソナルパートナーというサポートシステムもあるので、興味ある人はぜひ関わってもらえたら」と、森山さんは呼びかけます。沢山の神戸市民が関わることで、神戸のアートシーンが更に盛り上がっていけたら素晴らしいですね。

神戸というまちの魅力を感じながら生まれてくる作品たち。それが何年か後にはとても大きな意味を持って、神戸や世界に点在しているかもしれません。

そんなAiRKの活動は、常に発信されているのでSNSからチェックできますよ。イベントなどもあるので要チェック、今後が楽しみですね。

旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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