イヤミな上司は「質問」ではなく「●問」をしている! 嫌われる5つの質問とは?
■大きく分けると質問は3つに分類できる
「質問力をアップしたい。どうしたらいいですか?」
と質問してくる人が大勢いる。ChatGPTに代表される「対話型AIサービス」が普及するにつれ、昨今「質問力」に対する関心がとても高まっている。レベルの低い質問をしていれば、どんなに優れたAIを使っても期待した回答が得られないからだ。
※確かに「質問力をアップしたい。どうしたらいいですか?」という、この質問そのもののレベルも低い。
それでは、そもそも質問とは何なのか? ビジネスで活用する場合、どんな種類があるのか? まずはそこから解説していこう。
実のところ、ビジネスにおいて使われる「質問」には以下の3種類ある。
(ただ、このような分類は一般的に知られていない。そのため「質問」を理解しやすくするための分け方だと受け止めてほしい)
(1)質問
(2)設問
(3)問い
一つ目の「質問」は、知らないことを、知っている人に尋ねることだ。
「はじめまして。お名前は何ですか? おいくつですか?」
「来年は何人の新入社員が入ってきますか?」
これが質問である。
二つ目の「設問」は、反対だ。知っていることを、知らないかもしれない人に尋ねることだ。テストや、相手を試すときに使う。
「外部環境分析で使われるフレームワークを教えてください」
「スタートアップ企業が注視すべき財務指標は何でしょうか?」
だから日常的に「設問」がクセになっている人は、嫌味な印象を与える。
「なぜ私が社長からこのプロジェクトを任されたかわかる?」
「今回、君が目標未達成になった本当の原因は何なのか? 知っているかな?」
こんな口ぐせがある上司は決して好かれない。したがって研修のときや、テストをするとき以外は、あまり使わないほうがいいだろう。
三つめの「問い」は、お互い知らないことを尋ねるときに使う。昨今は正解のない時代であるから、この「問い」の精度を上げること、「問い」を通じて対話することが求められている。
■2つの質問スタイルを覚えよう!
それでは次にスタイルについて考えてみたい。質問のスタイルは次の2種類に分けられる。
(1)オープンクエスチョン(拡大質問)
(2)クローズドクエスチョン(限定質問)
まずはオープンクエスチョンである。相手が自由に答えられる質問だ。さまざまな情報を引き出すことができるし、新たな気づきを生み出しやすい効果もある。
(例:どんな料理が好きですか? これは何のための会議ですか?)
次にクローズドクエスチョンだ。「はい」か「いいえ」で答えられる質問で、確認や誘導でも使われる。
(例:お子さんはお二人ですか? 環境にいい車のほうが売れると思いませんか?)
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンについては、多くの人がすでに知っていただろう。そして日々「ふだん使い」しているはずだ。しかし、はたしてこの質問スタイルを意識して使い分けている人は一体どれぐらいいるだろうか。
質問力が高い人は、意外とクローズドクエスチョンをうまく活用している。そのことは覚えておこう。
■5つのダメ質問とは?
「設問」や「問い」ならともかく、自分の知りたいことを尋ねるために使う「質問」は、それほど難しいことはない。テクニックなど、あまり気にすることなく、必要なときにしかるべき質問をすればいい。
ただし、これから紹介する5つの「ダメ質問」だけは、やめておこう。質問力をアップするためには、まずこの5つだけを覚えておけばいい。
(1)疑問に思ったことをそのまま質問する
(2)質問する相手を間違える
(3)考えればわかることを質問する
(4)調べればわかることを質問する
(5)抽象的なことを質問する
それでは一つずつ紹介しよう。
(1)疑問に思ったことをそのまま質問する
「どうして空は青いんだろう?」
「なぜ飛行機は落ちないんだろう?」
このように、何となく疑問に思ったことを、そのまま口にしてしまう人がいる。幼い子どもならともかく、ビジネスパーソンが、
「課長、なんで売上が上がらないんでしょうね?」
と無邪気に質問してきたら、あなたはどう感じるだろうか。ちょっとした世間話、飲みの席の会話なら、
「なんで残業って減らないでしょうね?」
「どうして景気が上がらないんですか?」
「また部長が怒ってましたが、何が不満なんですかね?」
このような質問で盛り上がることはあるかもしれない。しかしビジネスシーンにおいては、原則禁止だ。幼児が「なんで? なんで?」と質問するのと同じように、「疑問そのまま質問」をしてばかりいると「深く考えるクセがない」とレッテルを貼られるだろう。
そもそも質問は作るものだ。とくにビジネスにおいては、丁寧に質問を作るクセをつけなければならない。だから頭に思い浮かんだ疑問を、そのままのカタチで質問すべきではないのである。
したがって、いったん自問自答したうえで質問を加工してみよう。
「なんで売上が上がらないんでしょうね? 新商品が出るたびに一時的に売上はアップしたのに、今回はその兆が見えませんよね?」
このように質問すれば、質問された相手もそれほど困ることはないだろう。
(2)質問する相手を間違える
続いては、聞く相手を間違えている質問だ。
「課長、企画会議のダンドリをしてくれと部長に言われてます。どうしたらいいんですか?」
「部長に聞けよ」
質問する相手を間違えると、
「それ、私に聞くこと?」
と突っ込まれる。ひどい場合は、
「俺が思うに、企画会議はこうダンドリしたほうがいいんじゃないかなァ」
と、間違った答えを教えられてしまうことだ。こうなると問題は大きくなってしまう。聞きやすい相手ではなく、いつも誰に聞くと一番いいのか、考えるクセを身につけよう。
■考えるクセ、準備する習慣がない人は質問力が低い
(3)考えればわかることを質問する
3つ目は「考えればわかる質問」だ。質問したあとに、
「私に聞く前に、自分で考えたのか? 考えてから質問しなさい」
と注意されたことはないだろうか。また、
「言われてみればそうですね」
「よく考えたらそうでした」
こういう口ぐせがある人も、気を付けよう。考える習慣が足りないのかもしれない。質問する前に、自分で考えればわかることかどうか。自問自答するクセをつけるべきだ。
(4)調べればわかることを質問する
次は「調べればわかる質問」だ。「考えればわかる質問」とよく似ているが、こちらのほうがハードルは低い。
「来週お客様のところへ訪問しますが、何の準備をすればいいでしょうか?」
「何を準備すればいいって、ちょっと考えればわかるだろ」
「言われてみればそうですね」
これが考えればわかる質問だ。それとは別に、調べればわかる質問はこうだ。
「来週訪問するお客様の従業員数って何人でしょうか?」
「それぐらい自分で調べてよ。ちょっと調べればわかるでしょ」
「言われてみればそうですね」
考えてもわからないことはたくさんある。経験が足りない。知識が不足していると、うまく考えられないことはある。しかし調べればわかることは、調べておこう。お客様に対してもそうだ。
「御社が抱えている課題は何でしょうか?」
と質問するならともかく、
「御社が今、最も力を入れている商材は何でしょうか?」
と質問したら、マズい。
「ホームページもチェックせずに当社に来たんですか? ホームページや当社のパンフレットを見たら、それぐらいわかると思いますが」
とダメ出しされる可能性がある。いい質問をするためには、事前準備をしっかりしておこう。
(5)抽象的なことを質問する
5つ目は「抽象的すぎる質問」だ。「ぼんやり」した質問だと焦点がぼやける。なので、
「何を答えたらいいわけ?」
と相手は受け止める。代表的なのは、
「最近、いかがですか?」
「何か困っていることはありますか?」
こういった質問だ。
「何かトピックある?」
と聞かれたら、
「トピックと言われても……」
と質問されたほうは戸惑うだろう。話術に長けた人なら、相手が期待するようなトピックを言えるだろうが、普通は困らせるだけである。そうならないよう、具体的な表現を質問に盛り込むべきだ。
「先月17日に展示会に出品されていましたが、来場者の方々の反応はいかがでしたか?」
こう質問したら、しっかりとピントが合う。
「先月の展示会ですか。けっこう人が集まったんですが、狙ったお客様が少なかったですね」
このように、相手も答えやすいだろう。事前に「作る」ことを意識すれば、質問はそれほど難しくない。ポイントを押さえてしっかり準備して質問しよう。
<参考記事>