来月2日に投開票が迫った東京都議選。筆者が代表を務める報道系ベンチャーのJX通信社では、都議選の中盤情勢を探る都内世論調査を実施した。

今回の世論調査のポイントは以下の通りだ。

・都民ファーストの会への投票意向は引き続きトップで第1党の勢いを維持

・無党派の投票意向でも都民ファーストが圧倒

・小池知事の「築地は守る、豊洲を活かす」新方針に「賛成」58%、反対29%

これまでも本欄で紹介してきたとおり、JX通信社では1月から毎月東京都内の有権者を対象とした世論調査を行っている。今回の調査は7回目で、今月は先週に続き2度目の実施となる。調査は24・25日の両日、東京都内の有権者を対象にRDD方式で実施し、788人から回答を得た。こうした継続的な調査のメリットとしては、首長や政党支持の「勢い」の度合いを相対的に確かめられることが挙げられる(これまでの調査結果は本稿末尾のリンクで取りまとめている)。

都民ファーストが引き続き第1党の勢い維持

まず、2日投開票が行われる東京都議選で「都民ファーストの会」に投票すると答えた有権者は32.2%(前週比-2.4ポイント)に上り、「自民党」と答えた有権者19.5%(前週比+0.8ポイント)を上回った。都議選投票1週間前の時点で、引き続き第1党の勢いを維持している。

都議選での投票意向(1月からの推移・JX通信社都内世論調査)
都議選での投票意向(1月からの推移・JX通信社都内世論調査)

3位以下の投票意向先では、共産党が12.2%(プラス4.2ポイント)とやや大きく上昇した。豊洲市場への移転に反対する層の一部が共産党に回ったと考えられる。このほかに、民進党が6.0%(プラス1.3ポイント)、公明党が5.1%(プラス0.5ポイント)などとなっている。都議選で勝敗を分ける、いわゆる「無党派層」(特定の国政政党を支持しない層)に絞ると、都民ファーストの会への投票意向は45.4%に上り、自民党の6.4%など他党を圧倒している。もとより公認候補は過半数に全く届かない50人の擁立に留まる都民ファーストの会だが、公明党やその他推薦候補と合わせて過半数を獲得することはほぼ確実な情勢だ。

小池百合子知事自身の支持率は前週から2ポイント下げて49.2%となっている。不支持率は23.6%(プラス3.3ポイント)だった。相対的に女性よりも男性の不支持が多いほか、40代以上の年代では支持が不支持を大きく上回っている。

小池百合子知事の支持率(1月からの推移・JX通信社都内世論調査)
小池百合子知事の支持率(1月からの推移・JX通信社都内世論調査)

「築地は守る、豊洲を活かす」新方針に過半の賛成

「築地は守る、豊洲を活かす」という知事新方針への賛否(6月24・25日)
「築地は守る、豊洲を活かす」という知事新方針への賛否(6月24・25日)

また、20日に小池知事が示した「築地は守る、豊洲を活かす」という市場移転問題への対処方針については、「賛成する」もしくは「どちらかと言えば賛成する」と回答した有権者が58%に上った。「反対する」「どちらかと言えば反対する」と答えた人は29%だった。「どちらとも言えない」とした人は13%(いずれも小数点以下は四捨五入)だった。過半が賛成するという傾向は他社の世論調査でも共通する結果であり、知事の新方針は一旦、肯定的に受け止められていると言える。

市場移転問題そのものはかねてから有権者が重要争点とみなしておらず、都政のスケジュールを勘案すると都議選前の6月にも知事が移転を決断するだろう、ということは3月の拙稿などでもかねてから指摘してきたとおりだ。

小池知事自らが選挙前に移転を判断すれば「早期移転」を求めて公約に盛り込む構えすら見せている自民党にとっては「攻めどころ」が失われることになる。(略)移転反対派の有権者の受け皿は実質的には共産党しかなくなる。これは、非共産支持層の移転反対派にとっては事実上投票先が失われることをも意味する。そもそも「豊洲」が有力争点に浮上したことはない。こうして小池知事が弱点になりかねない「豊洲の争点化」を潰すカードを切れば、都議選は再び小池知事の信任投票に立ち戻るだろう。

(略)小池知事にとっては、都議選前にも難しい「豊洲移転」の判断を下すのに好適なタイミングがいくつかある。そのひとつが、都の専門家会議が豊洲新市場の安全性について報告書をまとめるとみられる6月だ。

出典:都議選前に「豊洲移転」決断?それでも小池旋風が強い3つの理由|米重克洋(3月31日公開)
知事の市場移転問題への評価(1月からの推移・JX通信社都内世論調査)
知事の市場移転問題への評価(1月からの推移・JX通信社都内世論調査)

但し、今回の方針について賛成の意思を示した有権者のうち、およそ3分の2は「どちらかと言えば賛成する」と回答し、曖昧な賛意を示している点は注目すべきポイントだ。「賛成する」と回答した層は19.3%にとどまり、「反対する」と回答した層14.6%と比べると5ポイント以内の差に留まる。

また、小池知事の市場移転問題への対応は、1月以来一貫して回を追うごとに否定的評価が増加する傾向にあった。今回の調査は知事が新方針を表明してから初めて実施したものだが、引き続き否定的な評価がやや増加している。

1月から指摘してきた、争点は豊洲でも五輪でもなく「小池」という選挙の構図は、今日に至るまで変わっていない。更に、今回知事が示した「築地再整備案のような豊洲移転案」は、都議選を前に支持層の離反を最小限に留めるという意味では成功している。しかし、選挙後いずれ議会での議論が必要となる、築地再開発の財源や税金投入の有無、市場機能の分担などは必ずしも明確になっていない。今回は知事の決断を「曖昧ながら肯定的に受け止めた層が多い」とすると、選挙後に再燃しかねない火種を残しているとも言える。