小池知事支持率52.6%、前月比8.8ポイント減=JX通信社 東京都内世論調査第5回 詳報

都議選を前に、小池知事や都民ファーストの会への支持が減速している(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

夏の東京都議選は、告示まで1ヶ月を切った。豊洲新市場への移転判断や東京五輪の近県開催競技に関する費用負担の問題など、この1ヶ月の間にも大きく注目を集めるトピックが多かった。都民の世論はどう変化しているのか。

今回の世論調査のポイントは以下の通りだ。

・小池知事の支持率は過去4ヶ月で最大の下落幅

・市場移転問題への対応「評価せず」3ヶ月連続増加 3割に迫る

・第1党は都民ファースト?自民?食い違う見立て

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筆者が代表を務める報道系ベンチャーのJX通信社では、27、28日の両日に東京都内での世論調査を実施した。これまでも本欄で紹介してきたとおり、JX通信社では1月から毎月下旬に東京都内の有権者を対象とした世論調査を行っており、今回の調査は5回目の実施だ(これまでの調査結果へのリンクを末尾で紹介している)。こうした継続的な調査のメリットとしては、首長や政党支持の「勢い」の度合いを相対的に確かめられることが挙げられる。今回の調査概要は右図の通りだ。

支持率は過去4ヶ月間で最大の下落幅

小池百合子東京都知事の支持率は前月から大きく下げて52.6%(マイナス8.8ポイント)だった。不支持率は17.0%(プラス5.7ポイント)となっている。

この1ヶ月で小池知事の支持率は8.8ポイント減ったことは注目に値する。本調査は1月から今回まで同じ設問文で継続的に実施しているが、この1ヶ月での急落はそれ以前の3ヶ月での下落幅(マイナス5.6ポイント)をも上回る。誤差を考慮しても、大きな下落幅だといえる。

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一方で、不支持率が引き続きかなり低い点にも注意が必要だ。小池知事の不支持率は前月比5.7ポイント増とそれ以前の3ヶ月間より大きく上昇してはいるものの、それでも2割を切っている水準は他のケースと比べても低い。また、知事の支持率の下落幅に対して、不支持率の上昇幅は少ない。

同様の傾向は都議選における投票意向先にも見てとれる。都議選での投票意向先に「都民ファーストの会」を挙げた有権者は32.5%で引き続きトップではあるものの、前月から5.2ポイントとやや大きく減らした。一方で、小池知事への批判を強める自民党は18.1%と前月比1.5ポイントの微増にとどまっている。築地再整備を打ち出し始めた共産党は8.3%(前月比マイナス0.5ポイント)と横ばいながら、引き続き3位の位置を維持している。その後を公明党5.0%(前月比マイナス0.4ポイント)、民進党4.3%(前月比マイナス0.2ポイント)と追う展開だ。

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これらの結果は、豊洲新市場の問題や五輪の都外開催競技の費用負担などで小池知事への逆風が強まったことを示唆している。しかし、それがイコール「反小池」の都政野党への支持に結びつく兆候が見られないというのが重要なポイントだ。こうしたことから、小池知事自身は依然として「嫌われていない」と分析できる。

市場移転問題は約3割が知事「評価せず」 3ヶ月連続で増加

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この1ヶ月間も築地市場の土壌汚染調査や都プロジェクトチームの議論等で注目を集めた、豊洲新市場への移転の是非について聞いた。豊洲新市場へ「移転するべきだ」と回答した人は39%(マイナス1ポイント)と最多でほぼ変わらず、「移転するべきでない」と答えた人が26%(プラス3ポイント)、「どちらとも言えない」とした人が36%(マイナス2ポイント/いずれも小数点以下は四捨五入)となった。やや「移転するべきでない」とする声が増えたものの、全体的な傾向はほぼ変わっていない。

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それと比べて変化が大きかったのが、小池知事の市場移転問題への対応への評価だ。1月以来、同じ設問文で知事の対応への評価を問う質問では、3ヶ月連続で「あまり評価しない」「全く評価しない」とする回答が増加し、今回の調査では合計で約3割に迫っている

相対的に減少幅が大きいのは、肯定的評価の中でも特に「高く評価する」とした層だ。

1月下旬の第1回調査では45%が「高く評価する」としていた知事の対応だが、それ以降は毎月下落を続け、今回の調査では18%に留まった。数字の変化を追うと、年初段階では「高く評価する」としていた有権者が減り、「ある程度評価する」「あまり評価しない」といった中間的な立場に流れていることが窺える。

実は、都議会自民党が争点化を推し進める市場移転問題そのものは、引き続き「都議選の投票にあたって重視する政策課題」として挙げる有権者は少ない。しかし、「決められない知事」などといった、知事の政治姿勢や期待感への疑問符を植え付ける意味での世論への訴求は一定程度「奏功」していると考えられる。

第1党は自民?都民ファースト?食い違う「投票意向」

ここまで紹介してきた我々の調査結果は、その多くの部分で他社の調査と傾向が一致している。小池知事の高支持率や豊洲移転への賛否の傾向、また、政党支持率や都議選での3位以下の投票意向先では、各社概ね傾向に違いはない。一方で、今回が初めての大型選挙となる都民ファーストの会と自民党のどちらが「投票意向先第1党」かという点では、調査主体によって数値の食い違いが大きい

具体的には、我々JX通信社や選挙ドットコムの調査、朝日新聞の調査、そして読売新聞などの調査で、それぞれ傾向が異なっている。

我々以外で最も早くから都議選の調査を繰り返し実施しているのが選挙情報サイト最大手の選挙ドットコムだ。調査のサンプル数は2万超と最も多い。ここでは、4月13日発表の調査結果で都民ファーストの会が33.87%なのに対して自民党が19.86%と大きな差がある。これは、微妙に時期が異なるものの、先月下旬の我々の調査と最も傾向が近い。

同じ4月でも2週間近く前の4日に発表された朝日新聞の調査は、やや様相が異なっている。都内有権者を対象とした調査で、全体では自民党31%、次いで都民ファーストの会20%と11ポイントもの差があるが、都議選に「大いに関心がある層」に絞ると、都民ファーストの会が34%、自民党が19%と逆転のうえ15ポイントも差が開いている。我々からすれば、全体では傾向が異なるものの、セグメントを絞るとかなり似た傾向の調査結果だ。

一方、先週22日に発表された読売新聞の調査はかなり異なる。投票意向先は自民党が25%に対して、都民ファーストの会が22%だ。つまりは「僅差だが自民党が上回る」という調査結果で、時期はやや異なるものの、朝日新聞とも我々や選挙ドットコムの調査ともかなり傾向が異なる。この読売新聞調査に関しては、近い日にちで発表されている他の社の調査でも、類似の傾向を持つ結果が明らかにされており、現状の「相場」に近いとも言えよう。

整理すると、最新の調査で都民ファーストの会が第1党と見ているのが我々と選挙ドットコムであり、朝日新聞はニュートラルな見方である。一方で、読売新聞などは自民党が第1党と見ている。だが、3番手に共産が付け、公明や民進が続くといった傾向はほぼ全ての社で共通している。要は「第1党は都民ファーストの会か自民党か」だけが大きく傾向が異なる、という点が今度の各社調査のポイントだ。

なぜこのようなことが起きるのか、そして「正解」はどの社の調査結果なのかー。今月上旬からきょうまでにかけて、個人的に知る他の報道機関の政治部記者や世論調査関係者にその解釈を質問してみた。

全員に共通する見立ては「設問文と選択肢の順番」の影響だ。サンプル数が十分であると仮定すると、世論調査における大きな変数は、主に「実施方法」「設問文」「設問文と選択肢の順番」となる。特に3点目の「設問文と選択肢の順番」で、揺れ動きやすい「無党派」の数字の拾い方が大きく影響を受けているのではないか、というのが大まかな共通意見だった。

我々とすれば、過去の選挙でも、昨年の東京都知事選挙参院大阪選挙区、今年の新潟県知事選挙など、他の報道機関と調査結果にある程度の差異が出ることはままあった(結果は正解だった)が、今回はそれらと比べても大きい差だ。

7月2日に出る「正解」は何なのか。我々は今後も継続的に調査を実施し、各社調査と選挙結果との整合を検証していきたいと考えている。