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正しく褒める「基準」とは? 芯のあるリーダーになるためのイフゼンルール【5300字】

横山信弘経営コラムニスト
(筆者作成)

経営者やマネジャーの方々から、

「厳しさと優しさの配分は、どうしたらいいですか?」

このような質問をよく受ける。部下に厳しくすれば辞めてしまうかもしれないし、優しくすると期待通りに成長しない。厳しさも優しさもどちらも大事だと思うが、どう配分したらいいのか。

経営者やマネジャーなら、誰でも悩むだろう、この難題について真正面から回答した。大作記事の後編である。

※前編はコチラ!

正しく叱る「基準」とは? 芯のあるリーダーになるためのイフゼンルール【7400字】

■「褒めて伸ばす」は本当か?

傾聴と同じようによく言われるのが「褒める」である。部下に優しく接するには、傾聴して、褒めればいいのか。そうすれば部下は主体的に行動し、スクスク成長するのか?

もしそうだとしたら、そんな簡単なことはない。

日の当たりのいい場所に置いて、毎日水をやっていれば成長する植物とは違う。それに「叱る」と同じで、「褒める」も、やり過ぎると刺激馴化が起きる。その刺激に慣れて機能しなくなる。

叱ってばかりいてもダメだし、褒めてばかりいてもダメ。

だから「メリハリ」が大事なのだ。

■部下を褒める「イフゼンルール」

叱るのも褒めるのも「発生型」の行為だ。「設定型」ではない。挨拶や声掛けは計画的にできるが、叱るのも、褒めるのも、計画してできるものではないし、やってはならない。

だが、意識しないと部下を褒められない上司も多いだろう。

部下育成のために意識して褒めることを、私は「ホメジメント」と呼んでいる。

「褒める」と「マネジメント」をくっつけた造語だ。

意識しないと、部下を褒めることができないマネジャーは、まず褒めるプラン(P)を考える。そしてプラン通りに実行(D)する。さらに、定期的に「正しく褒めているか?」「褒めるタイミングを逃していないか?」とチェック(C)し、問題があれば改善(A)する。

このようにPDCAサイクルをまわすことが「ホメジメント」だ。

褒めるプランとは、「イフゼンルール」のことだ。

・もしも部下が●●をしたら、褒める。

・もしも部下の行動(成果)が●●を超えたら、褒める

このような感じで、褒める「イフゼンルール」を自分の中で決めることだ。そうすることで、部下も学習するようになる。

「なるほど、こうすると褒められるのか」

「やっぱり、これぐらいでは褒められなかった」

「ホメジメント」が正しく機能すれば、上司に言われなくても部下は率先して褒められる行動をするだろう。

芯のあるマネジャーは、この基準がブレない。褒めるときは、褒める。褒めないときは、褒めない。

■「褒める」よりも100倍大事なこと

「ホメジメント」は部下が褒められる行動をしたとき、成果を出したときしか使えない。

それでは、日々決められたルーティーンワークをしているだけの部下を褒められないのだろうか。

あたりまえのことを、あたりまえにやっている部下も承認欲求を満たしたいと思っている。

では、そういう場合はどうするのか? 褒めないのか?

もちろん、褒めない。どんなに難易度が高くても、ルーティンワークを淡々とやっている部下を褒めることはできない。

「イフゼンルール」が適用できないからだ。

それでは、何もアクションを起こさないのか? 

いや、それは絶対にダメだ。

おそらく、ほとんどのマネジャーはコレができないから、部下と良好な関係を築くことができないのだ。

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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