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還暦を迎えた「ハイヒール」モモコが抱く相方・リンゴへの思い。そして、今噛みしめる後悔とは。

中西正男芸能記者
還暦を迎え、今の思いを語る「ハイヒール」のモモコさん

 今年2月に還暦を迎えた漫才コンビ「ハイヒール」のモモコさん。節目を記念した著書「ヤン暦」も上梓しました。これまでの芸能生活で練成してきた人生訓、そして、相方・リンゴさんへの思い。さらに今感じる“後悔”とは。

縁、運、勘、人

 50歳の時に「縁 運 勘、人 ハイヒール・モモコの欲しいものをすべて手に入れる法則」という本を出したんですけど、今年2月、10年ぶりに本を出しました。

 前回の本のタイトルじゃないですけど、本当にご縁がつながっている話で、ずっと同じ編集者さんが私の本を担当してくださっているんです。

 そもそも、私が妊娠した時に思いを原稿にするオファーをくださった方で、そこからのご縁で。そのお付き合いで今も続いているのは、本当にタイトル通りの人生だなと改めて思います。

 今回の「ヤン暦」もそうなんですけど、サイン会をやらせてもらうと、本当にありがたいことに関係者の皆さんを含め、本当にたくさんの方が来てくださいます。

 これまで、妊娠した時とか節目節目で本を出してきたので、それを全部持ってきてくださる方もいらっしゃって。本は自分の分身みたいなところもあるので、何十年分も持ってきてくださるのを見ると、本当に長い間応援してくださっているんだなと感謝するばかりです。ガラにもないことに聞こえるかもしれませんけど(笑)。

 それと同時に、長いことやっているといろいろな変化もあったなと感じます。

 今やったら感覚の違う話ですけど、30年ほど前は妊娠したら、その時にやっている仕事を失うという風潮もありました。だからこそ、女性コンビは難しいとも言われたんですけど、それが徐々に変わってきて、妊娠しても仕事を続ける。なんなら、妊娠したことで仕事が増える。そういう時代になってきました。

 時代の流れもちょうど自分の人生に合っていたのかもしれませんし、これも縁と運の部分だと痛感します。

今思う後悔

 ここまでこの仕事をやってきて、ずっと胸にあるのが「寝るのは死んでから」という考えです。

 今だったら批判されるかもしれませんけど、子どもを産んだ時も1週間ほどで仕事に戻りました。産んですぐ皆さんがお見舞いに来てくださったんですけど、よく考えたら、ベッドでしゃべってても、テレビ局でしゃべってても同じやなと。それだったら、テレビ局でしゃべっていたらお金もくれるもんなと思って(笑)。何があっても、体が動くなら仕事をしていたほうがいいと思うようになっていきました。

 その考えの根っこにあるのは、この仕事が大好きだということです。漫才も好き、テレビ・ラジオの仕事も好き。心の底から「こんなに良い仕事はない」と思いますもん。

 しゃべることで人に喜んでもらえる。テレビ局に行ったら最新の服を着せてもらって、タダでメイクもしてもらえて、最新の情報にも触れられて、普通は会えない人にも会える。本当に良い仕事に巡り合えました。

 だからこそ、できれば長く続けたい。もちろん、オファーをいただかないと成立しない仕事なんですけど、お話があるうちは続けられればなと思っています。自分としての目標は西川ヘレンさんなので、ヘレンさんが今も活躍されてますから、毎年目標とする年齢は一年ずつ更新されています。

 ただ、もしお話が来なくて仕事がなくなったら、それはそれで、旅行にも行けるし、自由に過ごせる。その中での次の人生を楽しみたいと思っています。

 要はね、私は何が起こってもポジティブに考えるんだと思います。例えば、足をケガしたとしても「足で良かった。顔じゃなくて良かった」とか「命があって良かった」とか、そちらにとるんです。これは若い頃からずっとです。

 そして、リンゴさんが3つ年上だったのも、本当に良かったなと感じています。これが同い年だったらケンカをしてコンビが続かなかったかもしれませんし、最初から“お姉さん”という意識があったのが良かったんだろうなと。

 その感覚が今も縮まってないんです。何十年もやっていると、縮まってくるものなんですけど、今でも“お姉さん”です。互いに「この相方で良かった」というのが今の感覚やと思います。やっぱり、やっぱり、つくづく私は縁と運と勘、そして人で生きてきたんだなと痛感します。

 ただ、一つね、後悔じゃないですけど、この世界に入った頃の自分に伝えられるなら「もっと勉強しとき」ということは言っておきたいですね。

 旅行に行っても、すごく感じるんですよ。「この場所の歴史とかをもっと知っていたら、感動の幅も広がるんやろうな」と。今はなんでもスマホで検索できますけど、それが元から身についていたらもっと違うんだろうなと。

 またね、子どもと一緒に歌舞伎とかタカラヅカを観に行っても、びっくりすることがたくさんあります。ものすごく良い役の人がいきなりやられたりして「え、まさかこんなことあるの?」とぼう然としていると「いや、これ、歴史で有名なあの事件やん」とサラッと言ってくるんです。こっちも「あ、そうか、そうか」と思い出したフリもしますけど、内心「知らんかった…」ですから(笑)。

 子どもという自分から生まれてゼロから始まった存在がそこまで育ってくれたんだといううれしさもありますけど、あっという間に追い抜かされている複雑さもあり…。もう少し勉強しておいたらなと思います。

 あと、今年の誕生日は還暦だったので、人生でも一番プレゼントがもらえるタイミングだったと思うんですけど、誕生日に本の発売日を合わせたんです。なので「本を買いました」ということをプレゼントの代わりにした人が多くて。「ちょっとでもズラしておいたら良かった…」とこれも後悔はしました(笑)。

(撮影・中西正男)

■モモコ

1964年2月21日生まれ。大阪府出身。本名・小林聡。吉本興業所属。NSC大阪校1期生。82年にリンゴと漫才コンビ「ハイヒール」を結成する。同期は「ダウンタウン」、「トミーズ」、内場勝則ら。92年にテレビ番組の企画で募集した一般男性と結婚。95年に長男、99年に次男、2002年に長女を出産した。読売テレビ「あさパラS(読売テレビ)」、関西テレビ「モモコのOH!ソレ!み~よ!」「ごきげんライフスタイル よ〜いドン!」などに出演中。還暦を記念した著書「ヤン暦」を上梓した。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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