それでも「情熱」を持ち続けたい人に贈る4つのポイント

(写真:アフロ)

■ 本物の情熱と、ニセモノの情熱

「情熱」という言葉を聞いて、あなたは何を思うでしょうか。情熱とは、何かを成し遂げようとする際に、激しく燃え上がる感情のこと。

「あの人は、さらに品質の高い製品を作ろうと、研究に情熱を傾けている」

などと使います。

しかし、昨今の日本――とくに日本企業には、情熱を失った人が増えているようです。

米国の調査会社ギャラップによれば、エンゲージメント(熱意)の高い社員は、米国の32%に対して、日本企業には6%しかいない、という調査結果が出ています。

有名な調査結果ですから、書籍や記事で目にした方も多いことでしょう。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントですから、多くの「情熱的な人」を引き寄せます。「絶対達成」というフレーズを使っているせいでしょう。

「私は●●のような目標を絶対達成させたいんです」

「●●といった夢を実現させるために、ぜひアドバイスをください」

などと、情熱を語ってくれる人と多く知り合います。しかし、長年こういう仕事をやっていると、さすがに目が肥えてくるもの。近年、本物の「情熱的な人」と、ニセモノの「情熱的な人」と、見分けがつくようになりました。

今回の記事では、ニセモノの情熱を持っている人とは、どんな人を指すのかについて解説します。(どんな人が本物の情熱を持っているかを解説するより、わかりやすいからです)

本物かニセモノかの見分けがつかないと、共通の目標をもったチームメンバーとして一緒にやっていけません。ぜひ、参考にしてください。

■ 1.「熱くなる人」はニセモノ

自分の意志で、自分を「熱くする人」が、本物の「情熱的な人」と言えます。したがって、他人から火を付けられて「熱くなる人」は、ニセモノです。

こちらの記事「熱くなる人」ほど目標が達成できなくなる理由で書いたとおり、「熱くする人」と、「熱くなる人」とでは、大きく異なる点があります。それは、能動的か受動的かという点です。

何らかの目標を達成させる(とくにチーム一丸となって達成させる)ためには、気分によってモチベーションがアップダウンするような人をメンバーにしていると困ります。なぜなら、そのメンバーを誰かがモチベートしなければならないから。こちらの記事人を動かす「熱量マネジメント」で書いたとおり、その人それぞれ持っている「熱量」には上限があります。

「熱量」とは燃料みたいなものですから、チームメンバーにその限られた燃料を使ってしまうと、本来使うべきところに使用することができません。ですから、

「おい、あと一年なんだから、最後まであきらめずに頑張っていこう。な!」

と、他人から鼓舞されないと火がつかないような人は、その事柄に情熱を持っているとは言い難い。

自分のハートに火をつけるのは、自分自身です。他人ではなく。感情のコントロールぐらい、自分でできないのであれば「情熱がある」などと言わないことです。

■ 2.「言われてみればそうですねと言う人」はニセモノ

こちらの記事「言われてみればそうですね」と言う部下はやる気がないで書いたとおり、「言われてみればそうですね」と言う人は、意識が足りない人です。深く考えていない人ですから、当然「情熱」なんてカケラも持っていない。

脳のワーキングメモリに、その事柄が常駐していないのです。

「何としても、売れる新商品を開発し、当社の新しいブランドを作りあげていこう」

「はい。私はこのプロジェクトに命を懸けています!」

「ところで新商品を開発するには、英語の文献を読みこむ必要がある。君は英語ができるのか」

「いえ……。まったく」

「英語ができない? それでよく、このプロジェクトに志願したな」

「言われてみれば、そうですね」

情熱がある人というのは、ハートに火がついている人です。頭に血がのぼっている人を、情熱があるとは言いません。事態を甘くみている人、覚悟が決まっていない人は、単に浮かれている人です。だからニセモノなのです。

本当に情熱がある人は、その事柄について、24時間、365日、考えて、考えて、考えて、考え尽くしています。ですから、誰かから新しい気付きを得られたら、、

「言われてみれば、そうですね」

という反応ではなく、

「これまで、まったく考えたこともなかったです。意識したこともなかった。ありがとうございます。素晴らしいアイデアを!」

と驚き、喜ぶはずです。それぐらい熱中していないのであれば、情熱があるとは言えません。

■ 3.「探求心がない人」はニセモノ

その事柄に探求心がない人――つまり勉強していない人――は、当然のことながらニセモノです。

たとえば、私と同業で「営業コンサルタント」と名乗る人は、数えきれないほどいます。

「営業の力で、もっと中小企業を元気にしたい。日本経済を発展させたい」

と熱く語る人もたくさん知っています。しかし、世の中に「営業」という職種が何万人いて、それぞれ「営業」の特色を、顧客や商品やチャネルの属性など、あらゆる切り口でカテゴライズしているコンサルタントはどれぐらいいるでしょうか。

私は、拙著「営業の基本(日本実業出版社)」で、営業の分類を細かく記しました。

営業スタイルによっては、人間力を鍛えたらいいのか。営業トークを訓練したらいいのか。SFAを使いデータ解析したうえで提案したらいいのか。社内政治力を活用したほうがいいのか。やり方は、それぞれ違うからです。

「営業の力で、日本を元気にしたい!」

と熱く言っているだけでは、情熱的だとは言えません。その分野において、飽くなき探求をしているかどうかで、本物かニセモノかがわかります。

こちらの記事相手に「熱意」を伝えるために準備すべき3つのポイントに書いたとおり、その事柄に関する「情報」「知識」「知恵」をしっかり身につけることで、

こちらの記事人を動かすには「1時間は話せ」に書いたように、1時間でも余裕で語れるぐらいになります。

情熱を傾けるその事柄について、1時間以上は余裕で話せるか。それが情熱があるかどうかのバロメーターとも言えるでしょう。

■ 4.「具体的な計画がない人」はニセモノ

情熱がある人は、常に「あり方」に焦点を合わせています。「あり方」とは、「あるべき姿」「ありたい姿」のことを指します。

「私はフィンテック事業を起ち上げ、新しい金融のカタチを、アフリカで作りあげていきます」

たとえば、このような「ありたい姿」を熱く語る人がいたとします。

思い描く理想の姿が実現したら、どんな世界が待っているのか。それを語らせたら、朝までかかるぐらいの熱い思いがある人なら、とても情熱的な人のように見えます。

しかし、こちらの記事「本当に熱い人」と「本当は熱くない人」との見分け方に書いたとおり、「あり方」は大事ですが、「やり方」も同時に考えなければ、いっこうに夢に近付くことができません。

夢を語ることにばかり力を入れて、肝心なアクションプランをいつまでも作らない人がいます。

夢を持つこと、目標が達成したときの満たされた時間を体で感じておくことは、とても大切なことです。情熱を維持するための強いエネルギーにもなるからです。しかし、夢ばかり語っていても前へは進みません。

こちらの記事あなたの上司が「意識高い系上司」だったらどうする?で書いたとおり、やる気や情熱などなくても、結果を出すための努力をつづける人はいます。

熱く語ってばかりで、まずは具体的な計画を立てるべきですね。

■ それでも「情熱」を持ちたい人へ

何らかの情熱を持ちたい。でも、やりたいことが見つからない、という人も多くいます。情熱を持っている人に、多くの人は魅せられるからでしょう。では、情熱がない人が、どうやったら情熱を持てるのか。

ポイントは、探求と行動です。

やりたいことかだとか、好きなことかは関係がなく、何らかのきっかけでやらなくてはならなくなったことを一所懸命にやりましょう。それこそ、限界だ、と思えるほどにやるのです。そして、その事柄を探求しましょう。

情熱などなくても、勉強ぐらいできます。最初は「やらされ感」しかなくても、いっこうにかまいません。

勉強し、探求し、考え、創意工夫し、目標に向かって行動しつづけることで、あとから情熱が湧き上がってきます。いつの間にか体の中に「種火」が出来上がっていて、ひょんなきっかけで突然それに火がつき、情熱の火が燃え上がるのです。

私の周りには、そのような方々が多くいます。

情熱などは、後からついてくるものだ、と割り切るぐらいがちょうどいい。そう思って、目の前のことを一心不乱にやってみる。そこからはじめることが大事です。