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「本当に熱い人」と「本当は熱くない人」との見分け方

横山信弘経営コラムニスト
(写真:アフロ)

■ 熱い人なのか、熱く話す人なのか

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。

現場で15年以上やっていますから、どんな目標を課せられても、常に達成させられる人とそうでない人とは、すぐに見分けができます。達成させられる人は当然、皆さん熱い人ばかりです。

ただ、この「熱い人」という表現は、一般的な人が抱いている印象と、私が抱いている印象とでは、かなり差があるようです。

なぜ、それがわかるか?

私が熱い人間ですから、多くの人から「横山さんに紹介したい人がいる」と言ます。

「●●さんも熱い人ですから、気が合いますよ」

と言われるので期待して会うのですが、残念ながら多くの人が、私が定義している「熱い人」とは違う。

最初のうちは、こういうこともあるのかなと思っていましたが、何年も同じことがつづくと事情が変わってきます。

「美味しい焼き芋をつくるのに、火を起こしたい」と言ったら、マッチと新聞紙を持ってこられたような気分です。

「火はつくけど、これでは焼き芋はつくれないだろう」「どんな種類でもかまわないから、炭を持ってきてよ」と突っ込みたくなります。

ですから、多くの人に

「熱い人の定義、間違ってないですか」

と言いたくなるのです。

少なからず、「あれがやりたい!」「この夢を叶えたい!」と、思いの丈を語ってばかりの人を、私は「熱い人」と呼ばない。

大事なことは、何が熱いのか、何が情熱的か、ということ。喋りとか、話し方が、どんなに情熱的であっても、その人自身が熱いかどうかはわかりません。

熱い人と、熱く話す人は違うのです。

■「あり方」と「やり方」

私は目標を絶対達成させるコンサルタントです。常に頭にあるのは、「あり方」と「やり方」の2つ。

「あり方」とは、どうあるべきなのか、どうありたいのかという事柄。まさに、夢であったり、目標であったり、ゴールと呼ぶべきものです。

そして「やり方」とは、その目標を達成させるための方法を指します。

「あり方」と「やり方」を考えたとき、必ず覚えておくべきことは、「あり方」は一つしかないが、「やり方」は無数にある、ということです。

これをやれば必ず達成する、という「やり方」はこの世に存在しません。絶対達成コンサルタントの私が言うのですから間違いないのです。

ということは、どんなに緻密な分析をして戦略を立案し、そのとおりに行動しても失敗することは多々あります。だからこそリスクを冒してチャレンジする精神が大事なのです。

にもかかわらず、です。

「横山さんに紹介したい人がいます。すごく情熱的な人なので、きっと横山さんと合いますよ」

と言われても、実際に会ってみると、話し方が情熱的なだけで、肝心な「人として」情熱的でないことが、とても多いのです。それが、どうしてわかるかというと、前述した「あり方」と「やり方」を意識するからです。

原則的に「あり方」はひとつしかないのに、

「私は必ず、子どもたちを笑顔にする世の中にしたいのです。そのために、こんな事業を新たにやりたいのです――」

などと、「あり方」についてばかり語ろうとする。

30分や1時間ぐらいなら付き合いますが、夜の8時から飲みはじめて、朝の3時ごろまでそんな話がつづくと、

「いい加減、具体的に『やり方』の話もしませんか」

と言いたくなります。

実現したらどんな世界が広がっているのかという話はもうわかりました。はい。たしかにステキです。おっしゃる通り、ぜひ、その夢の実現のために頑張りましょう。手を貸しますよ。……で、何からやりはじめますか。具体的に、いつから、何をやろうとしていますか。と尋ねると、すぐにトーンダウンする。

熱かった語調が、いきなり冷えるのです。

■ 熱に浮かされた人たち

本当に熱い人は、実のところ、一見してわからないものです。何らかの夢を叶えるためには、持続的な試行錯誤が不可欠です。ですから、いつも熱く燃え盛っていたら、いずれバーンアウトします。

熱く語ることは大事です。自分を鼓舞するために、大きな目標を掲げることには私も大賛成。しかし会うたびに、そのことばかりを語っている人に私は言いたい。そのエネルギーを他に使うべきだと。

具体的な話がいっこうに出ず、抽象的な話を熱く語ってばかりいる人は、熱い人というより、熱に浮かされている人です。頭がぼーっとして、のぼせ上っているというか。

まさに、はじめて恋をしたときのような気分と同じ。

具体的な将来プランはそっちのけ。好きだ好きだ好きだ、愛してる愛してる愛してるを言いつづけているだけなら、「少し現実を見たら?」と周囲の人間から言われてしまいます。

恋することが目的で恋をしたら、いずれその熱い気持ちは冷め、長続きしないことでしょう。

同じように、夢を見ることが目的の人は、やたらとその夢を語りたがります。誰かに聞いてもらい、「すごいね」「がんばってね」「応援してるよ」と言われることが気持ちいいので、そればかりを繰り返します。

いつまでたっても、「やり方」に目が向きません。熱に浮かされているだけだからです。

■「クールヘッド&ウォームハート」

イギリスの経済学者、アルフレッド・マーシャルの「クールヘッド&ウォームハート」という言葉があります。何事にも、冷静な頭脳と、暖かい心が必要であるという意味で、ビジネスでもスポーツの世界でも、広く使われている言葉です。

つまり「あり方」ばかり熱く語って、「やり方」に目がいかない人は、「ウォームヘッド&クールハート」なのです。熱に浮かされ、のぼせ上っている感じ。表面的には熱いが、心の芯が冷えている。だからいつまで経っても、その想いが結実しません。

私は「努力は実る」という言葉は好んで使いますが、「願えば叶う」という表現は、あまり好きではありません。

企業に入って支援していても、やたらと総論ばかり語っている経営幹部や管理者がいます。どんなに熱く語っても、総論は総論。具体的な計画に論点が移ると、とたんに及び腰になるのであれば、いわゆる「総論賛成各論反対」の姿勢。

芯が熱い人とは言えません。

本当に目標を達成したいと願うなら、「本当に熱い人」と行動をともにすべきです。「本当は熱くない人」と一緒にやっていると、なかなか目標が達成しないので、人選には気を付けるべきです。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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