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新たな家系のスタイルが続々誕生! 進化し続ける「次世代型」家系ラーメンとは?

山路力也フードジャーナリスト
従来の家系とは一線を画するラーメンが続々誕生している。

家系ラーメン誕生から今年で50年

1974(昭和49)年創業の『吉村家』から家系ラーメンの歴史は始まった。
1974(昭和49)年創業の『吉村家』から家系ラーメンの歴史は始まった。

 今や全国的に人気を集めている「家系(いえけい)ラーメン」。豚骨醤油スープに鶏油を浮かべ、長さが短めの太麺を合わせ、具はチャーシュー、ホウレンソウ、海苔3枚というのが基本的な家系ラーメンのスタイル。麺の茹で加減やタレの濃さ、油の量などが自分好みに調整が出来、老若男女幅広い客層の支持を集めているラーメンだが、その発祥は神奈川県横浜市にある一軒のラーメン店だ。

 その店の名前は『吉村家』(神奈川県横浜市西区岡野1-6-31)。1974(昭和49)年、磯子区新杉田の地に創業し人気店となり、1999年には西区南幸へ一度目の移転。2023年3月には旧店舗から歩いて数分の場所に2階建の新店舗を構えたが、移転後も連日行列を作り続け、変わらぬ人気を誇っている。

 今年は『吉村家』創業から50年の節目の年。かつては『吉村家』の流れを汲む店が家系ラーメンと認識されていた時代もあったが、今では札幌味噌ラーメンや博多ラーメン同様に一つのジャンルとして定着している。最近では従来の家系ラーメンとは一線を画する、言わば「次世代型」の新たな家系ラーメンが続々と生まれている。誕生から半世紀を経て、家系ラーメンは新たな時代へと突入したのだ。

洗練されたハイクオリティ家系『革新家 TOKYO』

『東京ラーメンストリート』内に2023年10月オープンした『革新家 TOKYO』。
『東京ラーメンストリート』内に2023年10月オープンした『革新家 TOKYO』。

 JR東京駅八重洲口直結『東京駅一番街』内にある『東京ラーメンストリート』に、2023年10月にオープンした家系ラーメン店が『家系ラーメン 革新家 TOKYO』(東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅一番街B1)。こちらは2011年創業の人気店『ソラノイロ』(本店:東京都千代田区平河町1-3-10)が、「家系ラーメンに革新を起こす」をコンセプトにオープンした家系ラーメン店。『東京ラーメンストリート』には別ブランド『そらのいろNIPPON』も出店中だ。

 家系ラーメンの構成要素はそのままに、各パーツをブラッシュアップして再構築した一杯は、洗練された新感覚の家系ラーメンに仕上がっている。ベースとなるスープには熊本天草大王の鶏ガラを使用したり、麺は「春よ恋」「ゆめちから」などの国産小麦を用いて、チャーシューは国産豚肉を部位によって調理法を変えて3種類用意。他にも「カラシめん」や「ガーリックめん」など、従来の家系にはない自由な表現のラーメンを提案して話題を集めている。

京都の人気家系による豚骨魚介家系『麺家あくた川 別邸』

豚骨のパンチと魚介のキレが融合した『麺家あくた川 別邸』。
豚骨のパンチと魚介のキレが融合した『麺家あくた川 別邸』。

 2016年の創業以来、着実に店舗展開を重ねている人気家系ラーメン店『麺家あくた川』(本店:京都府京都市上京区上立売東町44)が、2023年12月に新たな店舗をオープン。『麺家あくた川 別邸』(京都府京都市左京区吉田本町26-22)は、これまでガッツリ系を提供していた別ブランド店を家系ラーメン店にリニューアルしたもの。京都市内の既存店とは違うメニューを揃えているのが特徴だ。

 従来の家系にはない豚骨魚介スープを使った「ギョトン!」は、濃厚な豚骨醤油スープにパンチの効いた魚介系の旨味が融合。一般的な豚骨魚介ラーメンとは異なり、家系らしく鶏油の甘さも加わってより深みのある味わいを表現。燻製されたスモーキーなチャーシューやシャキシャキした九条ネギの風味も相まって、これまでの家系ラーメンとは異なる、複雑で厚みがある一杯に仕上がっている。

柚子が香る斬新なネオ家系『人類みな家族』

行列店『人類みな麺類』の店内に別ブランドとして開業した『人類みな家族』。
行列店『人類みな麺類』の店内に別ブランドとして開業した『人類みな家族』。

 大阪南方に本店を構え、都内にも展開する人気ラーメン店『人類みな麺類』(本店:大阪府大阪市淀川区西中島1-12-15)が、2024年1月に本店の中で新たに家系ブランド『人類みな家族(ファミリー)』を立ち上げた。こちらは人気YouTuberとのコラボレーションブランドで、2月には東京でも間借り店舗として営業を始めて注目を集めている。

 低温調理の大判なチャーシューに刻んだ柚子片など、従来の家系とは一線を画するビジュアルのラーメンは、甘味のある醤油ダレが特徴的。さらに柚子鶏油を浮かべることで、爽やかな香りを演出している。全粒粉を配合した風味豊かな麺はしなやかな食感。さらに海苔とご飯は食べ放題のサービスも。家系の常識に一切とらわれることなく、自由な発想で生み出された「ネオ家系」だ。

 『吉村家』という一軒のラーメン店が生み出した一杯が、いまやラーメン界を代表するジャンルとなった。今回ご紹介した店以外にも、その店ならではの様々なスタイルやテイストのものも増えて、店ごとの個性が出てきている。ぜひ色々な家系ラーメンを食べ歩いて、自分好みの家系ラーメンを見つけて欲しい。

※写真は筆者によるものです。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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