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日本一のご当地ラーメンはどこだ? 『日本ご当地ラーメン総選挙』が他のイベントとは違う3つの理由とは?

山路力也フードジャーナリスト
日本全国から10のご当地ラーメンが東京新宿に集結。

全国のご当地ラーメンが東京新宿に集結

東京新宿の大久保公園で10月9日まで開催中のラーメンイベント『日本ご当地ラーメン総選挙』。
東京新宿の大久保公園で10月9日まで開催中のラーメンイベント『日本ご当地ラーメン総選挙』。

 全国各地の美味しいラーメンが一堂に会するラーメンイベントが、今年も多くの場所で開催されている。その中でも一際注目を集めているのが、東京新宿の大久保公園で10月9日まで開催中の『日本ご当地ラーメン総選挙』(開催期間:10月5日〜9日/会場:新宿区立大久保公園 特設会場/主催:日本ご当地ラーメン総選挙実行委員会)だ。

 日本全国にはご当地ラーメンが100以上あると言われているが、「日本三大ご当地ラーメン」と言われる札幌ラーメン・喜多方ラーメン・博多ラーメンをはじめ、横浜家系ラーメンや佐野ラーメンなど、数あるご当地ラーメンの中から選ばれた10のラーメンが東京新宿に集結。実際に食べた人の投票などによって、ご当地ラーメン日本一を決めようというラーメンイベントだ。

 このように一つの場所に多くのラーメン店が集まる「ラーメンイベント」は全国的なブームとなっているが、どのイベントに行っても似たような印象を受けることは否定出来ない。しかしながら、この『日本ご当地ラーメン総選挙』は一見普通のラーメンイベントのように見えるが、他のラーメンイベントとは一線を画すアイディアがいくつも導入されている。

主催者ではなく一般公募とWEB投票により選ぶ

一般公募とWEB投票により選ばれた10のご当地ラーメンが出店している。
一般公募とWEB投票により選ばれた10のご当地ラーメンが出店している。

 一般的にラーメンイベントに出店している店舗は主催者側が選ぶのが通例だ。地域や味が偏らないようにバランスを考えたり、集客を考えて名前の知られた人気店にオファーをしたり、慣れない空間で多くの杯数をスピーディーに提供出来るようにイベント経験の豊かな店が選ばれることが多い。その結果、どのラーメンイベントに行っても同じようなラインナップが揃う傾向が強いのは否定出来ない。

 しかし『日本ご当地ラーメン総選挙』では、全国を7つのブロックに分けて出店者を一般公募し、WEB上で投票によって各ブロックの出店者が決められた。この決め方の場合、前述したような味のバランスを考慮することが出来ないリスクがあるが、日本一のご当地ラーメンを決めるというコンセプトを最優先させた結果だろう。

 WEB投票の予選によって選ばれたご当地ラーメンは「北海道・札幌ラーメン(北海道)」「山形県・酒田ラーメン(東北)」「福島県・喜多方ラーメン(東北)」「栃木県・佐野ラーメン(関東)」「神奈川県・家系ラーメン(関東)」「山梨県・甲州地どりラーメン(中部)」「長野県・王様中華そば(中部)」「京都府・京風ラーメン(関西)」「広島県・尾道ラーメン(中国・四国)」「福岡県・博多ラーメン(九州・沖縄)」の10種類。これらのラーメンが新宿での決戦イベントに駒を進めた。

ラーメン店ではなく「ご当地ラーメン」同士の戦い

ブースの上には店名ではなく地域とご当地ラーメンの名前が掲げられている。
ブースの上には店名ではなく地域とご当地ラーメンの名前が掲げられている。

 今回の『日本ご当地ラーメン総選挙』は、日本一のご当地ラーメンを決めるというのが趣旨。単独店舗での応募や出店も可能だが、あくまでも評価の対象はラーメン店ではなくご当地ラーメンとなる。よって従来のイベントのようにブースの看板もラーメン店の名前ではなく、ご当地ラーメンが大きく掲げられている。

 従来のラーメンイベントの場合は、出店するモチベーションの一つに店の知名度を上げたいという宣伝的な側面もあっただろう。しかし今回はご当地ラーメンや地域を盛り上げたいという思いを持った人たちが出店を希望した。その結果、地域によっては複数のラーメン店が一つのチームを組んだり、行政や他の団体も巻き込んで地域ぐるみで出店しているところもある。

 地域活性化が叫ばれる中で、誰もが好きなラーメンは観光資源が少ない地域にとっても重要なコンテンツになる。また地域の食材を使ったり町を回遊したりと、ラーメンは町興しとも親和性が高い。ご当地ラーメンは観光客やインバウンドを引き寄せる起爆剤になり得る可能性があり、実際に成功している地域も少なくない。このイベントでご当地ラーメンの認知が高まり、その地域全体が盛り上がることは間違いないだろう。

販売杯数ではなく満足度で日本一を決める

ラーメンの食券の半券と引き換えに投票コインを貰い、好みのラーメンに投票するシステム。
ラーメンの食券の半券と引き換えに投票コインを貰い、好みのラーメンに投票するシステム。

 一般的なラーメンイベントでは優勝などを決めることは少ないが、今回の『日本ご当地ラーメン総選挙』はご当地ラーメン日本一を決めるのが趣旨であるため、1位から3位までの順位がつけられる予定になっている。気になる順位の決め方だが、売上杯数ではなく基本となるのは実際に食べた客による投票によって決められる。

 ラーメンの食券には投票コイン引換券が付いており、引き換えたコインを投票箱に入れれば投票完了。自分が食べたラーメンに投票しても良いし、3杯食べた中で一番美味しいと思ったラーメンに3票入れても構わない。また、投票に値する店がないと感じた場合は「該当無し」の箱に入れることも出来る。

 実際に食べた客の投票で獲得した票をベースに、さらに『日本ラーメン協会』理事による店舗内の衛生管理度チェック数十項目を数値化したものを加算し、さらにイベント公式Twitterから発信された各店の紹介Tweetの閲覧数も加味した上で、日本一のご当地ラーメンを決める仕組みだ。

 会場ではどのご当地ラーメンも他には負けたくないと、本気のラーメンを提供している。ぜひ期間中に会場へ足を運んで数々のご当地ラーメンを堪能し、貴方にとってのご当地ラーメン日本一を決めて欲しい。

※写真は筆者によるものです。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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