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夏冬のオリンピックで銀メダルの選手にもチャンスあり!? 二塁手を放出した球団とマイナーリーグ契約

宇根夏樹ベースボール・ライター
エディ・アルバレス Jun 2, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ミルウォーキー・ジャーナル・センチネルのトッド・ロシアックは、ミルウォーキー・ブルワーズがエディ・アルバレスとマイナーリーグ契約を交わした、と報じている。ノン・ロースター・インバイティとして、マイナーリーグではなくメジャーリーグのスプリング・トレーニングに参加するという。

 アルバレスは、来年1月で33歳のユーティリティだ。遊撃、二塁、三塁に加え、ライトとレフトも守る。メジャーデビューは30歳と遅く、通算出場は50試合に過ぎない。通算成績は、打率.183と出塁率.262、1本塁打と4盗塁。今シーズンは、ロサンゼルス・ドジャースのAAAで開幕を迎え、6月3日に昇格したが、1ヵ月後に降格となり、9月5日に解雇された。

 普通なら、ほとんど目に留まることのない選手だが、アルバレスは、オリンピックのメダリストだ。それも、冬と夏にどちらも銀メダルを獲得している。2014年のソチ五輪はスピード・スケートの5000mリレー、2021年に行われた東京五輪はベースボールだ。後者は、オール-オリンピック・チームの二塁手に選出された。

 また、出場試合はそう多くないが、AAAでは、直近の3シーズンとも好成績を残している。2019年は66試合に出場し、打率.323、出塁率.407、OPS.978。2021年は31試合で、打率.288、出塁率.423、OPS.865。2022年は47試合で、打率.322、出塁率.439、OPS.993だ(2020年はマイナーリーグのシーズン全体が中止)。3シーズンの合計144試合は、打率.315、出塁率.422、OPS.959となる。ホームランは24本、二塁打は32本だ。

 今オフ、ブルワーズは、二塁のレギュラーだったコルテン・ウォンをシアトル・マリナーズへ放出した。来シーズン、三塁を守るのがルイス・ウリーアスだとすると二塁手の候補は、ブライス・テュランマイク・ブロッソーに、ウォンのトレードで獲得したエイブラハム・トロだろう。3人のうち、テュランはまだメジャーデビューしておらず、あとの2人もブレイクには至っていない。わずかとはいえ、アルバレスにもチャンスはあるはずだ。スプリング・トレーニングで結果を出せば、開幕戦に二塁手として出場とまではいかなくても、開幕ロースターに入るかもしれない。

 なお、ウォンやトロらが動いたトレードについては、こちらで書いた。

「2年前に逃した二塁手をトレードで獲得する。今年の守備は芳しくなく、FAまではあと1年だが…」

「トレード移籍で復活は間違いなし!? 新天地のホームでは出塁率.440&OPS1.032」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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