Yahoo!ニュース

2年前に逃した二塁手をトレードで獲得する。今年の守備は芳しくなく、FAまではあと1年だが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
コルテン・ウォン Aug 13, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シアトル・マリナーズは、外野手のジェシー・ウィンカーと内野手のエイブラハム・トロをミルウォーキー・ブルワーズへ放出し、交換に二塁手のコルテン・ウォンと175万ドルを獲得した。

 2020年のオフに、ウォンは、セントルイス・カーディナルスからFAになり、ブルワーズと2年1800万ドルの契約を交わした。MLB.comのダニエル・クレイマーによると、この時、マリナーズもウォンに2年契約を申し出ていたという。左打ちの二塁手、ウォンかトミー・ラステラのどちらかを手に入れたかったようだ。ウォンの契約には、年俸1000万ドルの球団オプションがついていて、先月上旬、ブルワーズは、このオプションを行使した。ラステラは、3年1875万ドルの契約でサンフランシスコ・ジャイアンツに入団した。

 今シーズン、マリナーズの二塁は、主にアダム・フレイジャーが守った。フレイジャーとウォンのスタッツを比べると、出塁率は.301と.339、ホームランは3本と15本、OPSは.612と.770、盗塁は11と17だ。今シーズンだけでなく、ここ2年のトータルも、ここ3年のトータルも、ウォンが勝る。フレイジャーは、今オフにFAとなった。

 守備に関しても、基本的にはウォンが上だろう。今シーズン、二塁を守った時のDRSとOAAは、フレイジャーの±0と+6に対し、ウォンは-1と-9だが、ウォンのスタッツが芳しくなかったのは、右のふくらはぎを痛めるなど、怪我の影響かもしれない。

 ただ、来シーズンが終わると、ウォンはFAになる。トロがブレイクしていれば、今回のトレードはなかったはずだ。昨年の夏、2対2のトレードで、トロは、ヒューストン・アストロズからマリナーズへ移籍した。マリナーズの選手として出場した最初の2試合とも、アストロズを相手にホームランを打ち、10試合で打率.432(37打数16安打)を記録したものの、ブレイクには至らなかった。2021年は移籍後の60試合で、出塁率.328、5本塁打、OPS.695。今シーズンは109試合に出場し、出塁率.239、10本塁打、OPS.563に終わっている。

 ちなみに、今シーズンの開幕前にシンシナティ・レッズから獲得したウィンカーも、マリナーズでは打てなかった。昨シーズンと今シーズンを比べると、出場110試合と136試合で、出塁率は.394→.344、ホームランは24本→14本、OPSは.949→.688だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事