ドラフト全体1位は「ワールドシリーズで優勝」しているのか。ハーパーは初出場
今から12年前、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、ドラフトで全体1位指名を受け、ワシントン・ナショナルズに入団した。ナショナルズは、3年前に球団初のワールドシリーズ進出を果たし、そこで優勝した。ヒューストン・アストロズを4勝3敗で破った。
けれども、そこに、ハーパーはいなかった。
前年のシーズン終盤、ハーパーは、ナショナルズに提示された10年3億ドルの延長契約を断った。そして、FAとなり、フィリーズと13年3億3000万ドルの契約を交わした。ハーパーが入団したフィリーズは、ナ・リーグ東地区の4位に終わった。同じ地区で2位のナショナルズとは、12ゲームの差があった。
今年、ハーパーは、初めてワールドシリーズに出場する。今シーズンは、メジャーリーグ11年目。フィリーズがリーグ・チャンピオンシップ・シリーズを決めた翌日に、30歳の誕生日を迎えた。
ドラフト全体1位としてプロ入りし、メジャーデビューした選手は、52人を数える(かつて存在した、セカンダリー・ドラフトなどの全体1位は含めていない)。彼らのうち、ワールドシリーズに出場したのは18人だ。もうすぐ19人目となるハーパーを含めても、全体の36.5%にとどまる。また、出場したワールドシリーズで優勝を経験した選手は13人。こちらは、メジャーリーガーとなったドラフト全体1位の25.0%だ。出場の有無を問わず、4人中3人はワールドシリーズで優勝していない、ということになる。
ただ、2006~15年のドラフトに限ると、違う結果が出てくる。この10年間の全体1位のなかで、ワールドシリーズに出場したことがないのは、ティム・ベッカム(2008年/タンパベイ・レイズ)、ハーパー(2010年/ナショナルズ/現フィリーズ)、マーク・アッペル(2013年/アストロズ/現フィリーズ)、ブレイディ・エイケン(2014年/アストロズ)の4人だ。エイケンはアストロズに入団せず、翌年、全体17位で指名されてクリーブランド・インディアンズに入団したので、9人中3人となる。しかも、ワールドシリーズに出場した6人中、ゲリット・コール(2011年/ピッツバーグ・パイレーツ/現ニューヨーク・ヤンキース)以外の5人は、ワールドシリーズ優勝を経験している。
今年のワールドシリーズをフィリーズが制した場合、優勝リングを手にするであろうドラフト全体1位は、ハーパーの他にも2人いる。通常、レギュラーシーズンにそのチームでプレーした選手は、ワールドシリーズのロースターに入っていなくても、優勝リングをもらう。
アッペルは、6月下旬にフィリーズの投手としてメジャーデビューし、6試合に登板した。現在も、フィリーズに在籍している。あと1人は、2016年にフィリーズから全体1位で指名された、ミッキー・モニアック(ロサンゼルス・エンジェルス)だ。この夏にトレードで移籍するまで、モニアックはフィリーズにいた。今シーズンは、フィリーズで18試合、エンジェルスで19試合に出場した。
歴代のドラフト全体1位(1965~2015年)については、こちらで書いた。
◆「歴代ドラフト・トップピック(その1)1965~1974/マントルやコーファックスになれなかった者たち」
◆「歴代ドラフト・トップピック(その2)1976~1984年/バニスターとホーナーは日本でもプレーした」
◆「歴代ドラフト・トップピック(その3)1985~1994/グリフィーとチッパーは殿堂へ。A-RODは…」