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デビューからの5安打がすべてホームランは新記録。ただし、打率は.238

宇根夏樹ベースボール・ライター
ロドルフォ・カストロ(ピッツバーグ・パイレーツ)Jul 28, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月28日、ロドルフォ・カストロ(ピッツバーグ・パイレーツ)が、メジャーリーグ記録を打ち立てた。

 カストロは、メジャーリーグ1年目の22歳だ。この試合の2安打を含む、ここまでの全5安打を、いずれもホームランで記録している。これは、1900年あるいは1901年以降の「モダン・エラ」における史上初(ナ・リーグとア・リーグ)。5年前にトレバー・ストーリー(コロラド・ロッキーズ)が記録した、「デビューからの4安打ともホームラン」を上回った。

 ただ、ストーリーとカストロのストリークは、その「密度」が違う。

 2016年の開幕戦でデビューしたストーリーは、そこから3試合続けて先発出場し、14打数で4本塁打(4安打)を記録した。各試合のホームランは2本、1本、1本。打率は.286だ。

 一方、カストロは9試合の21打数で5本塁打(5安打)。打率は.238だ。その間に、2度降格している。4月21日に3打数0安打、7月6日~16日に11打数で3本塁打(3安打)、7月27日~28日に7打数で2本塁打(2安打)を記録した。先発出場した5試合中2試合、7月11日と28日はそれぞれ2本のホームランを打ったが、他の3試合、4月21日と7月10日と27日は無安打に終わっている。

 ストーリーの5安打目はシングルながら、その後の2安打はいずれもホームランだった。現時点のカストロに合わせ、最初の21打数で区切ると、7安打中6本がホームラン、打率は.333となる。

 とはいえ、カストロのストリークは継続中だ。しかも、状況からすると、カストロはホームランを狙っても構わない。パイレーツが今秋のポストシーズンへたどり着く可能性は、ほぼ皆無。地区首位とワイルドカード・レース2番手のどちらとも、20ゲーム前後の差がある。

 夏のトレード市場では「売り手」に回り、すでに、二塁手のアダム・フレイジャー(→サンディエゴ・パドレス)、リリーフ投手のクレイ・ホームズ(→ニューヨーク・ヤンキース)、先発投手のタイラー・アンダーソン(→シアトル・マリナーズ)を放出している。クローザーのリチャード・ロドリゲスも、手放しそうな気配だ。フレイジャーが定位置としていた二塁を守る選手が必要になり、パイレーツはカストロを昇格させた。

 ちなみに、カストロはAAの53試合で、ホームラン11本と二塁打12本を打ち、打率.300(207打数62安打)と出塁率.349を記録している。

 また、ストーリーとカストロには、もう一つ、違いがある。ストーリーは右打者、カストロはスイッチ・ヒッターだ。ここまでにメジャーリーグで打ったホームランは、最初の3本が左打席、その後の2本は右打席からだ。

 なお、パイレーツが放出した3人については、「買い手」の観点から、それぞれこちらで書いた。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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