4冠統一スーパーミドル級チャンプvs.6階級制覇王者
1週間前にラスベガスで催された4冠統一スーパーミドル級タイトルマッチ、サウル・"カネロ"・アルバレスvs.元WBOスーパーウエルター級チャンプ、ハイメ・ムンギア戦の際、リング外における”もう一つの戦い”が注目を集めた。
現役時代、スーパーフェザーからミドルまで6階級を制し、現在はプロモーターとして名を馳せるオスカー・デラホーヤが、試合2日前にXで「昨日の記者会見はカネロの試合と同じで退屈だった」と投稿。
その直後、カネロはロスアンジェルス・タイムズ、スペイン語版のインタビューに応じ、デラホーヤを「愚かなことしか言わないプロモーターだな」と発言した。
デラホーヤが「つまらない」と扱き下ろした5月1日の記者会見の折、両者は憎悪剥き出しで激しく罵り合った。
デラホーヤは2010年から10年あまり、自らが代表を務めるゴールデンボーイ・プロモーションがカネロをプロモートしていたことに触れ、自社への敬意を払うべきだと4冠スーパーミドル級チャンプを挑発した。更に、このメキシコの英雄が2018年に2度、禁止薬物の使用が明るみに出たことにも言及した。
そして、登壇する前にこう付け加えた。
「彼は、誰が自分をスーパースターに導いてくれたかを思い出すのが難しいようだ。私は、ボクサーとしてのカネロ・アルバレスを尊敬している。戦績とスキルを見れば当然のことだ。が、カネロはこの2カ月間、防衛戦の準備以上に多くの時間を私を侮辱することに費やしてきた。お前さんが何十年も戦った試合は、常に私の名前があったのだよ」
アルバレスがステージに立った時、2人は3メートルに満たない距離で睨み合ったが、やがて引き離された。
4冠統一スーパーミドル級チャンピオンは、対戦相手ではなく、かつて契約していたプロモーターに対して怒りを表し、言った。
「この愚か者が……俺がカネロとして米国に来てから、ヤツは俺の名で利益を得たということを忘れるな。デラホーヤは俺で金を稼いだんだ」
カネロとデラホーヤの関係は、もはや修正が利かないようだ。両者は法廷闘争を展開した過去もある。
2020年、カネロはゴールデンボーイ・プロモーション、デラホーヤ、そしてDAZNが契約違反を犯したとし、ロスアンジェルス連邦裁判所で訴訟を起こしている。 2018年にDAZNと結んだ11戦3億6500万ドルの契約が破綻した後、彼は少なくとも2億8000万ドルの損害賠償を求めた。デラホーヤ、DAZN、カネロは対戦相手に関して意見が分かれたため、契約は3試合だけとした。
同訴訟は2020年に和解となったが、ゴールデンボーイ・プロモーションはアルバレスとの契約を解除。以来、アルバレスはフリーエージェントとなり、マッチルームやPBCなどのプロモーターの下でファイトを続けている。5月4日の試合は、ムンギアの共同プロモーターであるゴールデンボーイ・プロモーション、及びメキシコの大プロモーター、フェルナンド・ベルトランによって手掛けられたものだった。
デラホーヤとカネロが舌戦を繰り広げている間、ムンギアは微笑していた。27歳の挑戦者はカネロに深い敬意を抱いているため、終始紳士的に振舞った。
カネロにとってムンギアは、7年前にフリオ・セサール・チャベス・ジュニアを破って以来初めて対戦するメキシコ人だった。そして、貫禄を見せてベルトを守った。
4冠統一スーパーミドル級チャンプと6階級制覇王者の”戦い”は、どんな結末を迎えるか。