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ドラフト全体4位の投手が31歳で引退。4年前にエンジェルスで防御率リーグ9位

宇根夏樹ベースボール・ライター
ディラン・バンディ Jul 6, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年の夏、ディラン・バンディは、ニューヨーク・メッツに解雇された。その後は、どの球団にも在籍していない。

 5月12日にMASN(ミッド-アトランティック・スポーツ・ネットワーク)が掲載した、ロック・コバッコの記事によると、冬の間に引退の手続きを済ませ、不動産業のライセンスを取得したという。

 バンディは、2011年のドラフトで、ボルティモア・オリオールズに全体4位指名を受けた。現在の年齢は31歳だ。

 記事のなかで、引退の理由を問われ、バンディは「87~88マイルの速球しか投げられず、90マイルに達することもあるが、そう多くはない」と答えている。プロ入りした当時のバンディは、100マイル・ボーラーだった。

 スタットキャストによると、メジャーリーグで記録した最速は、2016年7月6日の98.6マイル。ミネソタ・ツインズで投げ、メジャーリーグではラスト・シーズンとなった2022年の最速は、93.0マイルだ。

 2017~19年は、オリオールズで3シーズン続けて160イニング以上を投げたが、防御率はいずれも4.20以上。2012年の1.2イニングで防御率0.00――当時は19歳。9月下旬にメジャーデビューした――を除くと、シーズン防御率は、短縮シーズンの2020年がベストだ。前年12月のトレードで、オリオールズからロサンゼルス・エンジェルスへ移り、リーグ9位の防御率3.29(65.2イニング)を記録した。

ディラン・バンディ Aug 11, 2020
ディラン・バンディ Aug 11, 2020写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 2011年のドラフトで1巡目に指名された投手は、以下のとおり。この30人のうち、全体21位のタイラー・ビーディは、大学へ進み、2014年にサンフランシスコ・ジャイアンツから全体14位指名を受け、プロ入りした。

筆者作成
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 全体1位のゲリット・コール(現ニューヨーク・ヤンキース)、全体3位のトレバー・バウアー、全体52位のブレイク・スネル(現ジャイアンツ)は、サイ・ヤング賞を受賞している。

 全体12位のテイラー・ヤングマンとビーディは、読売ジャイアンツでも投げた。それぞれ、2018~19年に14登板と2023年に30登板だ。

 現時点で、メジャーリーグの球団に在籍しているのは、30人中12人。全体19位のマット・バーンズは、今月初旬、ワシントン・ナショナルズにDFAとされ、降格ではなく、退団を選択した。

 高校生に限ると、バンディの指名順位は、野手を含め、この年のドラフトで最も高かった。

ジョー・ジョーダン(左)とディラン・バンディ AUG 31, 2011
ジョー・ジョーダン(左)とディラン・バンディ AUG 31, 2011写真:ロイター/アフロ

 なお、2019年12月のトレードで、バンディと交換にオリオールズへ移った投手4人のうち、カイル・ブラディッシュは、昨シーズン、リーグ3位の防御率2.83とブレイクした。オリオールズでは、1992年にリーグ3位の防御率2.52を記録したマイク・ムシーナを最後に、規定投球回以上で防御率3.00未満の投手が途絶えていた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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