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大谷翔平のわずか15年前にも「初回にホームランを打った投手」がいた

宇根夏樹ベースボール・ライター
カルロス・ザンブラーノ April 9, 2005(写真:ロイター/アフロ)

 4月4日、「2番・投手」として出場した大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、1回裏にホームランを打った。

 投手が初回にホームランを打つのは、2006年のカルロス・ザンブラーノ以来だ。「ビッグZ」のニックネームを持つザンブラーノは、2001~12年に132勝を挙げ、打者としては24本塁打を記録した。

 機会という点からすると、ザンブラーノのホームランは、大谷のそれよりも珍しい。打順2番の大谷は、その前に降板しない限り、初回の打席に立つことが確定していた。それに対し、ザンブラーノの打順は9番だった。多くの場合、9番打者は初回の打席には立たない。打順が回ってくる前に、イニングは終了する。

 しかも、ザンブラーノは2度、2006年7月2日と9月17日の試合で、初回にホームランを打っている。どちらも、シカゴ・カブスの「9番・投手」として出場した。

 チームメイトの野手たちとザンブラーノ自身による、合わせ技といったところだろうか。1試合目も2試合目も、ザンブラーノのホームランは、チーム7安打目。また、チームのホームランとしては、それぞれ、2本目と3本目だった。

 ザンブラーノの前には、2002年6月2日の試合で、フィラデルフィア・フィリーズの「9番・投手」、ロバート・パーソンが初回にホームランを打っている。ザンブラーノは2ランとソロ、大谷はソロだが、こちらはグランドスラムだ。さらに、パーソンはこの試合の5回裏にもホームランを打ち、計7打点を挙げた。ホームランとホームランの間、3回裏の2打席は四球と三振ながら、もう少しでホームランになりそうなファウルも打った。

 4月4日の大谷のような記録の選手については、違う切り口から、こちらでも書いた。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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