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背番号10番の左サイドハーフ。期待の荒木遼太郎に漂う南野、香川と同種の不安

杉山茂樹スポーツライター
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 欧州組を優先する傾向が強い森保監督だが、欧州でそれなりに活躍していているにもかかわらず呼ばれていない選手もいる。2019-20シーズンから2021年末まで実質2年間、ベルギーのシントトロイデンでプレーした鈴木優磨は、その最たる存在だ。日本代表歴はない。だが、招集された過去は1度ある。鹿島アントラーズに所属していた2018年11月のベネズエラ戦、キルギス戦(=親善試合)になるが、怪我で辞退を余儀なくされた。そこでレールに乗り損ねたという印象だ。

 今季、鹿島に復帰。4-4-2の2トップの一角として先発を飾った初戦のガンバ大阪戦ではゴールも挙げている。

 厳つい風貌。見るからに荒々しそうにプレーする。G大阪戦では前半38分、相手FWパトリックを退場に追い込む、狡賢いプレーも見せている。しかし、その一方で冷静さも発揮した。「俺が俺が」的ではないポジションワークが目に止まった。

 2トップの一角でありながら、荒木遼太郎と入れ替わるように、臨機応変にサイドに流れた。左サイドハーフとして出場した荒木には真ん中に入り込む癖がある。彼と入れ替わるように左に開き、鈴木優磨はバランスを取ろうとしたわけだ。

 荒木は1月の日本代表合宿に、鹿島から上田綺世とともに呼ばれた期待の若手だ。今季与えられた背番号10に期待のほどが見て取れる。しかし、背番号から連想するポジションはトップ下だ。トップ下には、1トップ下と2トップ下と、大きく分けて2種類あるが、鹿島が敷く伝統の4-4-2にはいずれも存在しない。荒木は左サイドハーフを任されている。にもかかわらず、荒木は10番然とトップ下周辺で構えようとする。

 荒木は先月参加した日本代表合宿で、大学生チームと練習試合をした際も、同じ傾向を発露させていた。4-3-3の左ウイングとして出場しながら、タッチライン際で、サイド攻撃を仕掛けることができなかった。日本サッカー“あるある”を見せられているような気になった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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