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鹿島に同種のサッカーで対抗した川崎鬼木監督への不安

杉山茂樹スポーツライター
(写真:築田 純/アフロスポーツ)

 3連覇を狙う川崎フロンターレは、横浜F・マリノスに2-4で敗れたその3日後、試合間隔が一週間空いた鹿島アントラーズとアウェー戦を戦った。苦戦するのではないかの下馬評とは裏腹に、川崎は開始2分、相手のミスを突き先制。その15分後にも新人、佐々木旭が追加点を決め、2-0のスコアで押し切った。

 心配は杞憂に終わった。結果論で言えばそうなる。実力者をそれなりに揃えた上位候補。コンディションでも上回っていた相手の鹿島を向こうに回し、完封勝ちを収めることができた。横浜FM戦でついたミソは、払拭されたかに見える。

 だが筆者は、相変わらず懐疑的な目を今季の川崎に投げかけている。鹿島戦を経て、その度合いはむしろ高まった気がする。過去2シーズンと様子が異なることが、一段と鮮明になったからだ。

 なにより鬼木達監督の采配に顕著な変化が見て取れる。鬼木監督と言えば、5人の交代枠で行われた過去2シーズン、最も高い選手交代のスキルを発揮した監督だ。使い切らなかった試合は1シーズンでわずか数試合。片手に収まるほどだった。多くの選手を使いながら優勝した。しかし今季は、これまで、5人の枠を使い切った試合は3戦して1試合のみ。

 優秀な監督ほど選手を交代枠いっぱいまで使う。選手を数多く使いながら勝つ。選手交代の数と監督としての能力は比例の関係にあるとは、筆者の長年の取材に基づく見解だが、鬼木監督がFC東京戦、鹿島戦を4人の交代で終えた理由は、精神的に追い込まれていたからだと考える。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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