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終盤戦の注目選手は? リーグワン交流戦私的アワード。【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
ライリーは大車輪の活躍(写真:つのだよしお/アフロ)

 リーグワンのディビジョン1はふたつのカンファレンスで構成される。各組で同じカードを2回ずつ実施し、シーズン中盤戦には異なる組のチーム同士での交流戦に臨む。

 本稿では3月27日までの6週間にわたる交流戦における、私的アワードを紹介する。

ディビジョン1第6~11節(交流戦) 私的アワード

★交流戦MVP ディラン・ライリー(ワイルドナイツ)

★交流戦MIP 堀江翔太(ワイルドナイツ)

★交流戦新人賞 根塚洸雅(スピアーズ)

★交流戦ベストフィフティーン

1、クレイグ・ミラー(ワイルドナイツ)

2、堀江翔太(ワイルドナイツ)

3、オペティ・ヘル(スピアーズ)

4、サウマキ アマナキ(イーグルス)

5、ジョージ・クルーズ(ワイルドナイツ)

6、ピーターステフ・デュトイ(ヴェルブリッツ)

7、クワッガ・スミス(ブルーレヴズ)

8、コーバス・ファンダイク(イーグルス)

9、谷口和洋(スピアーズ)

10、サム・グリーン(ブルーレヴズ)

11、根塚洸雅(スピアーズ)

12、サム・ケレビ(サンゴリアス)

13、ディラン・ライリー(ワイルドナイツ)

14、テビタ・リー(サンゴリアス)

15、ダミアン・マッケンジー(サンゴリアス)

支える。躍動する。

 勝利の立役者であり続けたMVP、印象的な働きをアピールしたMIPとも、唯一、交流戦全勝のワイルドナイツから選んだ。

 ディラン・ライリーは、守備範囲の広いアウトサイドセンターの主戦級として看板の防御を支えた。大外の走者を活かす防御をひきつけながらのパスも、効率よく陣地を奪うツールとなっている。

 堀江翔太はチーム方針により途中出場が多いものの、攻守両面で独自の凄みを示す。

 ランナーとしては、正面衝突をした相手を弾きながらさらに直進を図る動きが特徴的。守ってはロ―タックルを放ったのちの起き上がり、接点周辺で攻め上がらんとする相手のジャージィを掴むといった渋い下働きで魅する。26―25と苦戦を強いられたブルーレヴズとの第11節では、自陣ゴール前で決死のタックルを繰り返した。

 新人賞は、2021年4月以降に日本の大学や高校から加わったルーキーを対象に選考。際立ったのは、スピアーズの根塚洸雅の運動量だった。

 左タッチライン際を痛快に切り裂き、味方に球をつなげばすぐに接点へサポートに入る。持ち場と逆側へ回ってのタックルもいとわず、本家の新人賞にも近づきつつある。

ファンダイクの存在感

 毎節選定のベストフィフティーンは、開催された試合でチームの勝利に直結する(しうる)働きを全うした選手を優先的にリストアップしてきた。今回のラインナップには、その並びに入ったか、入ってもおかしくなかった回数の多いメンバーを並べた。

 左プロップではワイルドナイツの2人が印象的。先発の多い稲垣啓太、リザーブが主体のクレイグ・ミラーとも、タックルとその後の起き上がり、突進力が際立つ。イーグルスの岡部崇人はスクラム、モールで光るうえにフィールドプレーでもよく顔を出す。

 フッカーではワイルドナイツの坂手淳史が、堀江が登場するまでの時間をハードタックルで支えていた。ブルーレヴズの日野剛志は、クラブの志向する小さく堅いスクラムを再現。守っては効果的なジャッカルを重ね、組織力で勝つチームの象徴であり続けた。

 右プロップでは前半戦で本欄選考MIPとなったオペティ・ヘルのほか、シャイニングアークスの竹内柊平、ワイルドナイツの平野翔平もスクラム、フィールドプレーで存在感を示した。

 ロックで目立ったのはイーグルスのサウマキ アマナキ。モールを前にドライブし、突進、タックルでも力強さを発揮した。

 ワイルドナイツのジョージ・クルーズは、本欄選定のベストフィフティーンへの登場機会はなかったが、一貫性を保っていた。自陣ゴール前での防御、相手の好ジャッカルをはがすスイープと渋い動きが光った。

 スピアーズのルアン・ボタは中盤戦こそ欠場も、復帰後はチョークタックル、突進で際立った。

 フォワード第3列では、イーグルスのコーバス・ファンダイクが出色の働き。ラインアウトでは攻守両面で持ち前の判断力、跳躍力を披露し、守ってはチョークタックル、ジャッカルを重ねて相手のアタックのテンポを遅らせた。

 下働きが際立ったのは、ヴェルブリッツのピーターステフ・デュトイも同じ。防御の裏側へ抜ける突進、パスが乱れた先へ繰り出す強烈なタックルを何度も披露した。

 ブルーレヴズのクワッガ・スミスはピンチを救うジャッカルを再三、繰り出す。防御を抜け出す際のボディバランス、速さも相変わらずだ。

 地上戦で冴えたのはサンゴリアスの小澤直輝、ブレイブルーパスのマット・トッド、スピアーズのファウルア・マキシも然り。トッドの同僚であるリーチ マイケルも突進、鋭い読みからなるハードタックルで堅調をアピールした。要所で好ジャッカルを連発したワイルドナイツのベン・ガンターは、早期復帰が待たれる。

マッケンジー、本領発揮

 スクラムハーフでは、スピアーズの谷口和洋が好判断、好パスを重ねる。サンゴリアスで定位置を争う流大齋藤直人はそれぞれ好キックと緩急あるさばきを披露。イーグルスの山菅一史は強気に仕掛ける。

 スタンドオフでは、ブルーレヴズのサム・グリーンが深い位置からのランニング、多彩なキックを貫く。特にワールドナイツに惜敗した第11節では、マン・オブ・ザ・マッチ級の働きをした。ブラックラムズのアイザック・ルーカスも攻守で奮闘。イーグルスの田村優はブルーレヴズ戦で一時13人となりながら絶妙な間の取り方とプレー選択でピンチを最小化。好判断からなるキックでフォワード戦の制圧を促した。

 センターでは、サンゴリアスのサム・ケレビが問答無用の突破を繰り返す。インサイドに入る主将の中村亮土とともに、防御も安定させる。

 衝突の凄みはブルーレヴズのヴィリアミ・タヒトゥアにも見られ、ブレイブルーパスのティム・ベイトマンはワークレートで光った。

 ウイングではサンゴリアスのテビタ・リーが、第8節からの4試合で計8つのトライを挙げている。長い距離を駆け抜けたり、相手をハンドオフで弾いたりと、個人技が際立った。防御でも光った。

 ブレイブルーパスのジョネ・ナイカブラがスピードをアピール。ワイルドナイツのマリカ・コロインベテも、要所でビッグゲインを繰り出し、強烈なタックルでも魅した。

 フルバックでは、サンゴリアスのダミアン・マッケンジーが大外へのパス、味方へのサポート、カウンターアタックの際のフットワークと持ち味を披露。イーグルス戦では自陣での好ジャッカルもあり、加入1年目にして枢軸の1人と化したような。グリーンロケッツのトム・マーシャルも、混沌局面で好判断を下す。

参考資料

週末再始動に向け要チェック。リーグワン・ディビジョン1前半戦活躍選手総まとめ【ラグビー雑記帳】

屈指の好カードの見どころは? &ディビジョン1第6節ベストフィフティーン【ラグビー雑記帳】

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ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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