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上位争い分けた準備と戦略&ディビジョン1第10節私的ベストフィフティーン【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
抜群の安定感を誇るファンダイク(写真は第1節)(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 ラグビーリーグワンの第10節が3月18日からの3日間、各地であった。

 18日は、東京・秩父宮ラグビー場でイーグルスとヴェルブリッツが対戦した。

 それぞれ4、5位とプレーオフに進める4強を争う者同士のバトル。大雨に見舞われていたとあり、南アフリカ代表フランカーのピーターステフ・デュトイら巨躯を揃えるヴェルブリッツは優位性を示したいところだったか。

 しかし実際のヴェルブリッツは、好プレーの直後の反則、エラーで流れを止める。首尾よく陣地を取っていた前半こそ9-3とリードも、ハーフタイム直前には敵陣ゴール前左での得点機を逃した。

 ペナルティーキックを獲得していたこの時、共同主将の姫野和樹はペナルティーゴールを選択しようとしていた。しかし結局は、周囲の声を聞き入れる形でトライを狙う。最後はタフなイーグルスの防御を崩せず、後半2分にモールで勝ち越され(9-10)、最終的には9-20で戦い終えた。

 姫野は「もう少し、チームでコネクトする時間があってもよかった」。当日に至るまでのプロセスを悔やんだ。かたや、勝った沢木敬介監督は、一部主力を欠くなかでの準備をこう誇った。

「今週のマインドセットはネクストハード。いいプレーしても、悪いプレーしても、次はもっと(よく)できる…と。庭井(祐輔副将兼ゲーム主将)、(小倉)順平、ジェシー(・クリエル)、嶋田(直人)が、しっかりとチームをいい雰囲気に持っていってくれた」

 上位陣同士の対戦は19日の秩父宮でもあり、2位と好調なスピアーズが6位のブレイブルーパスと対戦した。

 序盤はブレイブルーパスの防御時の出足が際立ったが、スピアーズの根塚洸雅曰く「(間合いを)詰めてくる(相手の)外に(ボールを)運べばチャンスがある」。攻撃ラインの立ち位置を深めにしたり、グラウンド両端にキックを通したりと、網目をかいくぐる工夫を凝らして着実に加点できた。43-28。

 昨季トップリーグ王者のワイルドナイツは19日、埼玉・熊谷ラグビー場でブラックラムズに29-12で勝利。前半終了間際のピンチを脱するや、一気に加点したのは堅守速攻型のワイルドナイツらしさの表れか。ただし、献身的なブラックラムズは試合終盤まで粘った。

 同日には、レッドハリケーンズがチーム再編報道後初のゲームを大阪・ヤンマースタジアム長居でおこなう。グリーンロケッツを15-10と下し、実戦初白星を挙げた。

 ブルーレヴズは感染症のため、コベルコスティーラーズとのホストゲームを不戦敗とした。本来この試合がおこなわれるはずだった20日、秩父宮では目下首位のサンゴリアスがシャイニングアークスを69-29で破った。シャイニングアークスも、レッドハリケーンズとともに今季限りでの再編が決まっている。

<ディビジョン1 第10節 私的ベストフィフティーン>

1、稲垣啓太(ワイルドナイツ)…ゲインラインを割る突進で攻めにリズムをもたらし、タックルを重ねる。

2、坂手淳史(ワイルドナイツ)…ブラックラムズ戦で80分、フル出場。立ち上がりには、自陣の深い位置でハードタックルを決めて相手の反則を誘う。終盤にも自陣へ大きく駆け戻ってのタックルで、向こうの反撃を食い止める。

3、平野翔平(ワイルドナイツ)…スクラムのプッシュは圧巻。15-7と8点リードで迎えた前半36分には、自陣での防御ラインから飛び出しキックチャージ。球を拾って一気に走り、チャンスを作る。ハーフタイム直前の追加点を促した格好だ。

4、ハリー・ホッキングス(サンゴリアス)…シャイニングアークスに69-29と大勝。まだスコアの動いていない時間帯に、自陣ゴール前で相手ボールラインアウトをスティールし続けた。攻めては懐の深い走りとオフロードパスを披露した。

5、ルアン・ボタ(スピアーズ)…ブレイブルーパスの攻めを遅らせるチョークタックルを何度も決め、球を持てば防御を引きずり前進。ラインアウトスティールでも存在感を示した。

6、コーバス・ファンダイク(イーグルス)…雨天下でのヴェルブリッツ戦を20 – 9で制するまで、ナンバーエイトとして我慢比べの象徴であり続けた。自陣ゴールライン上でのトライセーブ、再三のチョークタックルや突進、ラインアウトスティールで渋く光った。

7、李智栄(レッドハリケーンズ)…グリーンロケッツを15-10で下し初の実戦勝利。

8、ファウルア・マキシ(スピアーズ)…後半19分ごろ、33-14とリードを広げた直後に迎えた守勢の局面。ジャッカルで相手の攻めを断ち切った。後半10分には自陣ゴール前でリーチ マイケルの突進を受け止めながらグラウンディングを防ぐ。

9、齋藤直人(サンゴリアス)…防御の折は大声を出してラインの上げ下げを指示。攻めてはラックの真後ろから走り込み、球出しのタイミングに変化をつけながら鋭く正確なパスを配した。50/22ルールを利したキックも披露。

10、アイザック・ルーカス(ブラックラムズ)…昨季王者のワイルドナイツの鉄壁な防御を得意のラン、フラットなパス(チーム初トライが決まるひとつ前のフェーズ!)で崩しにかかる。8点差を追っていた前半30分頃のパントキック&ロングランの合わせ技は圧巻。また平野のランで攻め込まれた同36分頃、自陣ゴール前右まで大きく駆け戻ってのタックルでひとまずピンチを救った。

11、テビタ・リー(サンゴリアス)…圧巻の突破力。前半終了間際の連続トライで勝負をつける。ディフェンスでも鋭い出足のタックルが光った。

12、立川理道(スピアーズ)…防御の死角へ駆け込み突進。強烈なタックルを食らいながら踏ん張って味方へつなぐシーンも作った。

13、ディラン・ライリー(ワイルドナイツ)…外側のスペースを埋め、タックルで走者をその場に沈ませる。防御をひきつけながらのパスも鋭い。

14、根塚洸雅(スピアーズ)…ブレイブルーパス戦。5点リードで迎えた前半36分。鋭い出足の防御を、持ち前のボディバランスでいなして前進。カバー役の防御を引き付けながらライアン・クロッティにパスし、流れを引き寄せるトライをおぜん立て。膠着状態が続いていた後半17分には、敵陣中盤右のスクラムからの攻撃で左端を突っ切る。タックラーを2人、外し、自身通算2トライ目をマークした。

15、尾崎晟也(サンゴリアス)…鋭く飛び出す防御網の裏をカバーし、カウンターアタック、こぼれ球を拾い上げてのビッグランでトライをおぜん立てした。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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