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マドリーとシティが引き分けた理由。ハーランドへの対応とデ・ブライネの土壇場の出現【前編】

森田泰史スポーツライター
競り合うハーランドとヴィニシウス(写真:ロイター/アフロ)

勝負の行方は、次戦に持ち込まれた。

今季のチャンピオンズリーグ準決勝で、レアル・マドリーとマンチェスター・シティが激突した。マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウで行われたファーストレグは、1−1の引き分けに終わっている。

■ストライカーのパフォーマンス

この試合で注目されたのが、アーリング・ハーランドのパフォーマンスだ。

この夏、ボルシア・ドルトムントからシティに移籍したハーランドは、ここまで公式戦47試合で51得点をマーク。移籍一年目にして、新天地で圧倒的な決定力を見せ付けている。

グアルディオラ監督とアンチェロッティ監督
グアルディオラ監督とアンチェロッティ監督写真:ムツ・カワモリ/アフロ

「対戦相手が、我々を上回る場合がある。何かにチャレンジしても、相手に防がれてしまうことがある。私にはプランがあり、確固たるプレースタイルで戦いたいと思う。だが対峙しているチームの存在を忘れてはいけない」とは試合前のジョゼップ・グアルディオラ監督の言葉だ。

「(チャンピオンズリーグで)ライプツィヒやバイエルンのようなチームと対戦した。バイエルン戦のように、苦しむのは避けたい。ただ、一方で、時間を経て私は苦しむ必要性を学んだ。マドリーとのゲームにおいても苦しむかもしれない。だが我々にはハーランドがいる。そのアドバンテージを生かさなければいけない」

■ストップ・ザ・ハーランド

そのハーランドを止められるかどうかが、マドリーにとっては鍵だった。

無論、カルロ・アンチェロッティ監督は策を講じてきた。ハーランドとケヴィン・デ・ブライネのホットラインを分断しようとしたのだ。

ハーランドに対しては、2人のCBとアンカーが対応する。アントニオ・リュディガーとダビド・アラバ、そしてトニ・クロースがトライアングルで囲い込む形でハーランドを封じた。

筆者作成
筆者作成

また、デ・ブライネには、フェデリコ・バルベルデがマンマークで付いた。マドリーはバルベルデのポジションによって、【4−3−3】と【4−2−3−1】を使い分けながら戦った。

マドリーの守備は機能していた。そして、前半35分にヴィニシウス・ジュニオールがラティガッソ(弾丸ミドル)を沈める。マドリーのペースで、試合は進んでいた。

■グアルディオラの修正

後半、グアルディオラ監督が動く。ジョン・ストーンズを一列上げ、システムを【3−4−3】に変更した。

マドリーもエドゥアルド・カマヴィンガやダニ・カルバハルを「偽SB」にして変化に応じた。だが前線からのプレスを強化して、尚且つ中盤で数的優位をつくれるようになったシティに勢いがつく。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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