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バルサが「欧州の舞台」で勝てない理由。リアクション・サッカーの限界点。

森田泰史スポーツライター
ユナイテッドに敗れたバルセロナ(写真:ロイター/アフロ)

傷が癒えるには、まだ時間が必要だ。

今季のチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグにおいては、すでにベスト16のチームが出揃っている。チャンピオンズリーグに関しては、来週からラウンド16のセカンドレグが行われ、ベスト8が決定する。

だが、そこにある強豪クラブの名前がない。バルセロナである。

競り合うウパメカノとペドリ
競り合うウパメカノとペドリ写真:ロイター/アフロ

■ペドリの不在

バルセロナは今季、ヨーロッパリーグのベスト16を懸けたプレーオフの戦いで、マンチェスター・ユナイテッドに敗れている。昨季に続いて、CLはおろかELでも勝てないという事実があらわになった。

ユナイテッド戦では、ファーストレグでペドリ・ゴンサレスが負傷した。そこからチームが崩れていったところはあり、その点を敗因の一つとしては挙げられるだろう。

ペドリが出ている試合と、出ていない試合。その差は明らかだ。得点数(ペドリ出場時2.3得点/ペドリ欠場時1.2得点)、失点数(0.5失点/0.9失点)、勝率(87%/50%)と多くのデータがそれを立証している。

だが問題の本質は、別にある。

シャビ・エルナンデス監督のチームが抱える、構造的な欠陥だ。

■4人の中盤の共存

シャビ監督は、今季途中から「4人の中盤」を使い始めた。ペドリ、ガビ、フレンキー・デ・ヨング、セルヒオ・ブスケッツ。この4選手を、共存させるべく動いてきた。

ガビを左WGに据え、中盤をペドリ、デ・ヨング、ブスケッツで固める。誰かが欠けた場合、そこにセルジ・ロベルトやフランク・ケシエを投入する。

この布陣と選手起用で、バルセロナはポゼッションを高められる。なおかつ、シャビ監督としては、守備の「嵌め方」が明確になるため、使い易いシステムになっている。

守備時には、ガビがトップ化して、ロベルト・レヴァンドフスキと2トップを形成する。可変で【4−4−2】のシステムを形成して、ボールの奪いどころを定める。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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