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森保ジャパンの「初陣」をどのように評価すべきか。露見した「戦術三笘」の課題と無意味だったローリング。

森田泰史スポーツライター
ボールキープを試みる浅野(写真:ロイター/アフロ)

厳しいゲームだった。

日本代表はキリンチャレンジカップ2023でウルグアイ代表と対戦した。試合は1−1の引き分けに終わっている。

新しい景色をーー。見るために、第二次森保政権は再び始動した。だが、それを期待できるだけのパフォーマンスが示されたかと問われたら、私の答えは「ノー」である。

■三笘の使い方

ウルグアイ戦前、注目のポイントとして、「三笘の使い方」をあげていた。ブライトンで活躍する三笘薫を、どのように生かすかが今後の日本代表の課題になると指摘した。

結論から言えば、森保ジャパンの試みは失敗だった。それは、私の想像を遥かに超えて、悪かった。「アップデート版」を予期して、「改悪版」を見せ付けられた。そういう気分である。

警戒されていた三笘
警戒されていた三笘写真:ロイター/アフロ

では、何が問題だったのか。

まずは左サイドにフォーカスする。森保一監督は左サイドバックに伊藤洋樹を、左サイドハーフに三笘を据えた。

日本は【4−2−3−1】のシステムで試合に臨んだ。

一方、ウルグアイは【4−3−3】だった。守備時に【4−4−2】になる形で、インサイドハーフのフェデリコ・バルベルデが出てきてCFのマキシ・ゴメスと2トップを形成する。

日本はこれに対して、プレス回避にチャレンジする。その時、サイドでローリング(旋回)を行うという手段を用いた。

左CBの瀬古歩夢がボールを持っている。左SBの伊藤が上がり、なおかつ、内側のレーンを取る。三笘が引いてきて外側のレーンでパスを受ける。このパターンが、ひとつの日本の球出しのやり方だった。

ここで重要なのは、このプレーの「目的」だ。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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