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「私は大差で勝ったのだ」 トランプ氏「ホワイトハウス退去」を撤回か? 米大統領選

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
注目された大統領選後初の記者会見で、トランプ氏は何を語ったのか?(写真:ロイター/アフロ)

 「バイデンが、大統領としてホワイトハウス入りできるのは、彼が、バカげている8,000万の票が不正あるいは不法に獲得されなかったことを証明することができた時だけだ。デトロイト、アトランタ、フィラデルフィア、ミルウォーキーで起きたこと、大規模な不正投票を見たら、彼は解決不能な大問題を抱えたことがわかる!」

 トランプ氏が米国時間11月27日に投稿したツイートだ。

 トランプ氏はまた別のツイートで、デトロイト、アトランタなどの「ポリティカル・コレクトネス」が重視されている大都市では、大規模な不正投票が行われてバイデン氏が勝ったと主張している。

 バイデン氏は8,000万票が正当に獲得された票だと証明できない限り、ホワイトハウス入りはできないと訴えたトランプ氏。

 しかし、このツイートに、あれっ?と思う人もいるのではないか。

 この前日の11月26日に行われた大統領選後初の記者会見で、トランプ氏は、12月14日に行われる選挙人団による投票でバイデン氏の勝利が認定されたら「彼らは間違いを犯したことになる」と言う一方、その時は、平和的な政権移行のために「もちろん、ホワイトハウスを去る」と話していたからだ。

 ツイートと記者会見でのトランプ氏の発言はどこか矛盾しているように感じられる。トランプ氏は本当にホワイトハウスを去るのか?

私は大差で勝った

 実際、トランプ氏はこの記者会見で何を語ったのだろう。

 多くのメディアが、この記者会見でトランプ氏が「ホワイトハウスを去る」と言及したことを大見出しにして報じたが、トランプ氏は他にこうも話していた。

「もし、メディアが誠実で、テック企業が公正なら、競争にもならなかっただろう。私は、大差で勝っていただろう。私は大差で勝ったのだ。しかし、そのことはまだ報じられていない。しかし、人々は何が起きたかを理解している。彼らは何が起きたかわかっているんだ」

 自身の勝利を信じ続けているトランプ氏はまた「選挙戦は決して終わっていない」と強気な発言もした。

 トランプ氏の中には、どうしても敗北は認められないという思いと選挙人団による投票で負けたらホワイトハウスを去らざるをえないという気持ちが混在しているのだろう。これまで「法と秩序」の重要性を口を酸っぱくして訴えてきたトランプ氏である。負けは認めたくないものの、自分が訴えてきた「法と秩序」に反することはできない、選挙人団による勝敗の認定という秩序には従わざるをえないと認識しているのかもしれない。

 

 この記者会見ではトランプ氏はさらに、ワクチン開発の手柄をバイデン氏には与えないという意思表明も行なった。

「バイデンにワクチン開発の手柄を与えてはならない。ワクチン開発の手柄は私にある。私が誰よりも強く開発を推進したのだ」

バイデン氏に5万票与えたUSBドライブ

 11月27日には、ペンシルベニア州の連邦高裁が「不正の申し立てや証拠が提示されていない」という理由で、不正投票が起きたとするトランプ陣営の訴えを棄却した。一方、トランプ氏は同日、こうツイートしている。

「ビッグ・ニュース:ペンシルベニア州の選挙立会人:集計マシンにアップロードされたUSBドライブがバイデン氏に何千票も与えた。今、47個のUSBドライブが行方不明だ。各アップロードはバイデンに5万票を与えた」

 トランプ氏は、バイデン氏に5万票を与えたUSBドライブが存在していたと訴えているのだ。

 訴えが棄却されたため、トランプ陣営は、連邦最高裁に上訴する意向を示したが、果たして、そのUSBドライブは本当に存在していたのか? それとも、トランプ氏お得意の“陰謀論”なのか? 結局、そのUSBドライブが証拠として提示されない限り、“陰謀論”扱いされてしまうのではないか。

 それでも、トランプ氏は、自身が任命した保守派のエイミー・バレット氏が最高裁判事に加わり、6-3と保守派が多数を占めている最高裁の判断に懸けているのかもしれない。

 トランプ氏の闘いはどんな結末を迎えるのか。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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