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最大5万円補助!コンポストも 生ごみ処理機を900回使って得られたメリットとは?

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
(提供:RURI_BYAKU/イメージマート)

気温が上がってくると気になるのが、生ごみのにおいやコバエだ。ごみ出しも面倒。庭や畑があればコンポスト(堆肥)にできるが、マンションなど集合住宅だとそうもいかない。

そんな時に便利なのが、家庭用生ごみ処理機。小さいサイズで部屋の中に置ける。動作音も静かだし、においも気にならない。

「高いんじゃないの?」

家庭用生ごみ処理機は「高そうだから」と敬遠している人もいる。あまり知られていないが、消費者が家庭用生ごみ処理機を購入する場合、自治体が半額まで助成してくれる制度がある。家庭用生ごみ処理機を製造している島産業は、公式サイトに助成金制度検索サイトを設けており、現時点で全国の自治体のうち、60%以上が助成金制度を設けているという。多いところでは上限5万円まで助成する自治体もある。

大きくてかさばるんじゃないの?

家庭用生ごみ処理機は「大きいし、邪魔なんじゃないの」と思う人もいる。でも、小さいものならA4サイズくらい。キッチンの片隅やごみ箱の横に置くことができる。

家庭用生ごみ処理機(筆者撮影)
家庭用生ごみ処理機(筆者撮影)

生ごみ処理機900回使って227kgも生ごみが減った

筆者は2017年6月から家庭用生ごみ処理機を使っている。助成金制度で半額で購入した。電動の生ごみ処理機は、生ごみを熱風で乾燥させるので、重量が軽くなるし、においが減る。乾燥前後で重量を測ってみたところ、900回で合計227kgの生ごみが減った。平均で67%の重量が減ったことになる。生ごみ重量の80%以上は水分というだけある。

100回ごとに減少量をオレンジで示したのが下のグラフと表である。601回以降で減少率が上がっている理由としては、複数の要因がある。機種変更して生ごみ処理機の機能がバージョンアップしたこと、野菜の硬い部分を生ごみにせず、ベジブロスに活用するようになったこと、ストッキング状のごみ袋のまま入れずに、出してから入れるようになったので、より乾燥度合いが高まったことが挙げられる。

生ごみ乾燥後残量と減少分の割合(%)筆者のデータを基にグラフ制作:Yahoo! JAPAN
生ごみ乾燥後残量と減少分の割合(%)筆者のデータを基にグラフ制作:Yahoo! JAPAN

生ごみを900回乾燥させる前と後との重量比較(g)。筆者のデータを基に表制作:Yahoo!JAPAN
生ごみを900回乾燥させる前と後との重量比較(g)。筆者のデータを基に表制作:Yahoo!JAPAN

900回使ったメリットとは?

2017年6月から900回使ってきて感じる主なメリットは次の5つ。

1)においがなくなる

以前は「生ごみ=臭い」と思っていたが、すぐに処理すれば、食品そのもので、まったくにおいは気にならなくなる。水分を80%も含むものを長期間放置しておくから臭くなるのだ。

玉ねぎの皮や、野菜の硬い部分は、冷凍してためておいて、ある程度たまったらベジブロス(洋風の野菜だし)にして、リゾットやドライカレーにしている。このベジブロスの搾りかすも、家庭用生ごみ処理機で乾かしてコンポストにしている。

2)ごみ出しの回数が圧倒的に減る

重量が60%〜80%減るし、乾いたものはコンポストにしているので、ごみ袋がいっぱいになるまでの期間が長くなる。ごみ出しは面倒なものだが、マンションの一階までごみ出しに行く回数が減る。

ついでに言うと、以前はペットボトルの炭酸水をケース買いしていたが、これも止めたので、ペットボトルのごみも調味料類のボトルのみになって圧倒的に減った。

3)気持ちがすがすがしくなる

これは生ごみだけでなく、その他のごみや無駄をなくしていくと、気持ちがすがすがしくなる。冷蔵庫の中もスッキリさせると、気持ちもスッキリする。

「家庭用生ごみ処理機を使っている」というと「電気使ってるじゃないか」と言われるが、電気の契約は、実質100%自然(再生可能)エネルギーのハチドリ電力に切り替えてある。

4)自信が増えて罪悪感が減る

900回、使い続けてきたことによる自信が得られる。なにしろ生ごみ処理機は使い方が簡単で、入れてスイッチを押すだけなので、とても簡単。たとえ少量でも、食べ物を捨てる習慣があると、罪悪感を抱えてしまうが、それも減る。

5)食品ロスが減る

食べ残しや食品の無駄を出してしまうと、それは生ごみ処理機にかけて重量を測定するので、食品ロスを減らそうという意識が高くなり、実際に減っていく。

4月からの新年度で各自治体が新たに募集スタート

4月に年度が切り替わったので、全国の自治体では助成金制度を使っての家庭用生ごみ処理機購入を呼びかけるところも増えてきた。全住民には提供できないので、人数制限を設けてあり、先着順などで受け付けている。半額で買えるのならこれに越したことはない。筆者も最初の機種は2万円台のものを助成金制度を受けて1万円台で、インターネットを使って通販で購入できた。

もうしばらくすると、さらに気温は上がってくる。軽い気持ちで始めてみると、案外、思っていたより簡単なことがわかるので、ぜひチャレンジしてみてほしい。

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食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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