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世界のごみ焼却ランキング 3位はデンマーク、2位はノルウェー、日本は?

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

2021年4月20日の各地の最高気温は、東京24度、名古屋25度、大阪23度、那覇24度と、4月にしては軒並み高い。気温が上がってくると、においが気になってくるのが生ごみだ。生ごみの重量のうち、約80%を占めるのが水分。食べものを捨てることは、水分が多く燃えにくいごみを増やしてしまうことでもある。

世界のごみ焼却率、ナンバーワンは?

ここで世界のごみ焼却率を見てみたい。

OECDの2013年もしくは最新のデータで見ると、次のようになっている。下のグラフのうち、濃い黄色の部分(熱回収を伴う焼却)と、薄い赤の部分(熱回収を伴わない焼却)を合計したものが焼却率となっている。

OECD, Municipal waste disposal and recovery shares, 2013 or latest
OECD, Municipal waste disposal and recovery shares, 2013 or latest

見えづらいので、数字で示すと、次のようになる。

1、日本 77%

2、ノルウェー 57%

3、デンマーク 54%

4、スウェーデン 50%

5、オランダ・スイス 49%

OECDのデータの中から、主な国をピックアップしてグラフに示すと、下のようになる。2位のノルウェーはスペースの関係で外したが、いずれにせよ日本が突出している。

世界のごみ 国別焼却率。2位のノルウェーは除いてあるが、日本がダントツに高いことがよくわかる(OECDのデータを基にYahoo!NEWS制作)
世界のごみ 国別焼却率。2位のノルウェーは除いてあるが、日本がダントツに高いことがよくわかる(OECDのデータを基にYahoo!NEWS制作)

OECDのデータによれば、日本は、ごみを焼却する割合が世界で最も多いということになる。

2021年3月30日に、環境省が発表した令和元年度のデータによると、ごみの処分方法のうち、最も多いのが焼却で79.4%、リサイクルが19.6%、埋め立てが1%となっている。

日本のごみ処理方法の割合(2021年3月30日に環境省が発表した令和元年度のデータを基にYahoo!News制作)
日本のごみ処理方法の割合(2021年3月30日に環境省が発表した令和元年度のデータを基にYahoo!News制作)

世界の中でも日本のリサイクル率は低い

前述のOECDのデータでは、リサイクルとコンポスト(堆肥)にしている割合もデータで示してある。前述と同じグラフのうち、薄い黄色で示してあるところである。OECDのデータから主な国をピックアップしてグラフにすると、下のようになる。

世界のごみ リサイクル+コンポスト率。OECD(2013年もしくは最新)のデータを基にYahoo!News制作
世界のごみ リサイクル+コンポスト率。OECD(2013年もしくは最新)のデータを基にYahoo!News制作

OECDのデータで見ても、日本はリサイクル率が低い。あんなに分別しているのに・・・?

『ゼロ・ウェイスト・ホーム』や『プラスチック・フリー生活』、『ギフトエコノミー』などを翻訳している、高知在住の翻訳者、服部雄一郎さんは、日本が細かく分別回収しているにもかかわらず、リサイクル率が低い理由として

その答えのひとつは生ごみです。(中略)

ごみの30%から50%を占める生ごみが資源化すれば、日本のリサイクル率は大幅アップします。

と、ブログで書いている。服部さんの記事は、とても詳しくわかりやすいので、ぜひ一読をお勧めしたい。

「分ければ資源 混ぜればごみ」

世界でも、ごみの焼却率が最も高く、リサイクル率が低い日本。それを改善するには、食品ロスを減らすことに加えて、生ごみを「ごみ」にせず、資源化することなのだ。

消費者にできることの一つとしては、食べ物を買い過ぎないことに加えて、生ごみの水を切って捨てたり、生ごみをコンポストにしたり、家庭用の生ごみ処理機を使ったりすることである。筆者も2017年から生ごみ処理機を800回以上使い、乾かしたものはコンポストにして、これまで220kg以上のごみを減らしてきた

脱炭素が世界的に叫ばれ、急務となっている今こそ、食品ロス削減と生ごみの分別回収・資源化が望まれる。

参考情報

焼却大国ニッポン 〜日本のリサイクル率はなぜこんなに低いのか?(服部雄一郎、2020年1月23日、サステイナブルに暮らしたい)

一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について(環境省、2021年3月30日発表)

Municipal Waste (OECD)

なぜ燃やす?2兆円超、8割が水の生ごみも 焼却ごみ量・焼却炉数ともに世界一の日本(井出留美、2021.4.6)

国連4日夜発表速報 年10億トン近く廃棄 食品ロスは温室効果ガス排出10%で気候変動の主要因(61)(井出留美、2021.3.5)

生ごみ処理機を800回使って得られたこととは?200kgのごみが減るだけじゃない(井出留美、2020.11.25)

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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