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夏の生ごみ、においや汁だれを解決する方法とは?最大5万円もらえる助成金、夏休みの自由研究にも

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
(写真:アフロ)

夏は、生ごみのにおいやコバエが気になる季節だ。そんな悩みを解決する手段がある。毎日のように台所から出る生ごみを減らすことは「食品ロス削減」にもつながる。子どもの夏休みの自由研究にもぴったりだ。

その解決法の一つが、家庭用の生ごみ処理機だ。生ごみを入れてスイッチを押すだけ。

筆者が使っている生ごみ処理機(筆者撮影)
筆者が使っている生ごみ処理機(筆者撮影)

簡単で、面倒くさくないので、長続きする。

ふたを開けたところ(筆者撮影)
ふたを開けたところ(筆者撮影)

家庭用生ごみ処理機を使うメリットは次の3つである。

1、真夏でも生ごみのにおいやコバエが気にならなくなる

2、ごみが圧倒的に軽くなり、ごみ出しの回数が減る

3、食品ロスへの意識が上がり、ロスを減らすことができる

最大5万円の助成金がもらえる

香川県の島産業によれば、全国の自治体のうち、およそ6割が、家庭用生ごみ処理機の購入に対する助成金制度を設けているという。

たとえば東京都府中市や、埼玉県三郷市では最大5万円の助成金制度がある(府中市と三郷市に関しては、2020年度の受付は終了)。

筆者は埼玉県川口市の助成金制度を使って、およそ2万円の家庭用生ごみ処理機を半額の1万円程度で購入した。先に自分で購入し、後で申請して半額分を振り込んでもらった。

以下の記事によれば、家庭用生ごみ乾燥機に対し、最大10万円を助成している自治体もあるそうだが、筆者は見つけることができなかった。

参考:

図解でわかる生ごみ処理機の助成金を確実にもらうための全知識(Eco Kitchen, 2020.4.17)

全機種買って徹底比較!本当に人気でおすすめの生ゴミ処理機【2020年】(Eco Kitchen, 2020.4.17)

枝豆の殻などは、スイッチを押しておけば乾燥でき、乾燥の度合いも選ぶことができる(メーカーや機種によって違う)。

枝豆の殻(筆者撮影)
枝豆の殻(筆者撮影)

乾燥させた後は、コンポスト(堆肥)に入れられる。

コンポストに枝豆の殻を入れたところ(筆者撮影)
コンポストに枝豆の殻を入れたところ(筆者撮影)

もちろん、生ごみを乾燥させないでそのまま入れる方法もある。筆者は、マンション住まいで庭がないため、乾燥機で乾燥させたものをコンポストに入れているが、庭や畑が十分にある人だったら、そのまま投入してもいいだろう。

合計700回、乾燥前後で重量を測定、平均60%以上減る

筆者は2017年6月からこの家庭用生ごみ処理機を使い始めた。

乾燥前後で重量を測ったところ、合計700回で平均60%以上のごみ重量が減らせる結果になった。下記の棒グラフのうち、オレンジ色が、減らせた部分だ。

生ごみ乾燥後残量と減少分の割合(筆者データを元にYahoo!ニュース編集部が作成)
生ごみ乾燥後残量と減少分の割合(筆者データを元にYahoo!ニュース編集部が作成)

600回目以降で減少傾向が増加しているのは、ごみ処理機の機種を変えたことと、以前はストッキング状のごみ袋に入れて乾燥させていたのを、そこから出して、より乾燥度合いが上がるようにしたことが要因である。

700回使って、合計174kgの生ごみ重量を減らすことができた。大人一人の体重を60kgとすれば、およそ3人分の体重に匹敵する。

生ごみを700回乾燥させる前後の重量比較(筆者のデータを元にYahoo!ニュース編集部が作成)
生ごみを700回乾燥させる前後の重量比較(筆者のデータを元にYahoo!ニュース編集部が作成)

欧州では、生ごみや落ち葉、剪定した枝などは「オーガニック」として回収し、資源化することがほとんどだ。

参考

食品ロスを焼却・輸送せず、現場で電力や肥料に資源化 オランダのサーキュラーエコノミー(循環経済)とは

日本でも、そのように別回収して堆肥にしている自治体もあるが、残念ながら、ほとんどは焼却処分されている。水分が80%を占める生ごみは燃えづらく、エネルギーもそれだけ費やすことになり、環境負荷も大きい。

ごみの燃えやすさを示したもの。数値が高いほど燃えやすく、生ごみは燃えにくい(京都市・生ごみデータHPより)
ごみの燃えやすさを示したもの。数値が高いほど燃えやすく、生ごみは燃えにくい(京都市・生ごみデータHPより)

生ごみを減らすことは食品ロスを減らすこと

長年、家庭ごみの中の食品ロスを調査している京都市によれば、生ごみの中には、手つかずの食品、つまり食品ロスが重量比で45.6%も占められている。

京都市の生ごみデータ(平成29年度のデータ、京都市HPより)
京都市の生ごみデータ(平成29年度のデータ、京都市HPより)

生ごみを減らすことは食品ロスを減らすこと。そして、水分を減らせば生ごみの重量は減る。

生きている限り、ごみは出ざるを得ない。ずっと付き合っていくものだ。

「ごみにお金を使うなんて」と思うかもしれない。でも、一人ひとりがごみを減らすことで、毎年納めている税金の使い道が、ただ単にごみを燃やすだけのために使われないようになり、そのメリットは、住民にフィードバックされるはずだ。

ごみの重さを測ることや、どうやったらごみは減るかを調べることは、夏休みの自由研究のテーマにもなりやすい。

この機会に、生ごみのにおい解決も兼ねて、家庭ごみ処理機の購入や、コンポストの活用などをやってみてほしい。

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食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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