新型コロナで外出自粛 家での調理増 臭う生ごみを半分以上減らせる策とは?上限5万円助成の自治体も

(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、外出自粛を求める自治体が増えている。それに伴い、外食の機会が減る一方、家庭で調理をすることが増えている。そこで気になるのは生ごみの発生。しかも、気温が上昇してきており、臭いやコバエの発生が気になる季節。そんな生ごみを半分以上減らせる策とは何だろう。

家庭用生ごみ処理機 自治体によっては上限5万円の助成も

答えは「家庭用生ごみ処理機」だ。

生ごみは、全体のおよそ80%が水分である。

家事の中でも、ごみ出しを「楽しい!」と思ってやる人は少ないかもしれない。なぜなら、臭いし、重いし、ごみ収集場まで持っていくのが面倒くさいから。

でも、生ごみの80%を占める水分を減らしてあげることで、重さは軽くなり、臭いの問題も軽減する。

しかも、家庭用生ごみ処理機を購入する場合、住まいのある自治体から助成金が出る場合も多く、全国の約60%の自治体が、家庭用生ごみ処理機を薦めている。半額を助成する自治体がほとんどだが、埼玉県三郷(みさと)市では上限50,000円を出してもらえる制度がある。

庭や畑を持っている家庭なら、生ごみをコンポスト(堆肥化)にできる。でも、それができない家庭でも、家庭用生ごみ処理機を使えば、水分を除いて乾燥させることで、臭い・重いの問題が解決し、ごみ収集場まで持っていく回数を減らすことができる。

629回使って159kgも生ごみを減らすことができた

筆者は、日頃、食品ロス問題に取り組んでいる。2017年6月に、埼玉県川口市の廃棄物対策審議会委員になったことと、2017年7月に川口市クリーン推進員800名への講演を依頼され、「自分でもごみを減らすことを実践しないと説得力がない」と思い、家庭用生ごみ処理機の購入を考えた。本当は、近所の家電製品店などで購入できればよかったが、見つからず、通信販売で購入した。自治体の助成金を申請して認可され、半額で購入することができた。

購入したものは、家庭用生ごみ乾燥機。

使い方は簡単。生ごみを入れて、スイッチを押すだけ。

家庭用生ごみ処理機の例。上部にあるスイッチを押すだけ(筆者撮影)
家庭用生ごみ処理機の例。上部にあるスイッチを押すだけ(筆者撮影)

数時間経って、終わると、パリパリに乾いている。

乾かした果実の皮など(筆者撮影)
乾かした果実の皮など(筆者撮影)

これまで629回使っており、乾燥前後の重量を測定している。減らせたのは合計で159kg。

600回分の測定値をグラフ化してみた。下のグラフのうち、オレンジ色の部分が減らせた分である。半分以上、減っていることがわかる。

生ごみの乾燥後の残量(青)と減少分(オレンジ)の割合(筆者の測定データを基にYahoo!ニュース編集部が作成)
生ごみの乾燥後の残量(青)と減少分(オレンジ)の割合(筆者の測定データを基にYahoo!ニュース編集部が作成)

数字で見てみると、次の通り。50%以上減っている。

生ごみを600回乾燥させる前と後との重量比較(単位:グラム、筆者の測定データを基にYahoo!ニュース編集部が作成)
生ごみを600回乾燥させる前と後との重量比較(単位:グラム、筆者の測定データを基にYahoo!ニュース編集部が作成)

枝豆の皮や、玉ねぎの皮などは、最近は、冷凍庫にまとめて取っておいて、ベジブロス(野菜から取るだし)に使っている。ベジブロスを調理したあとのものも、乾かして、コンポストに入れている。

食品ロスを減らす意識も向上

実際に自分で使ってみてわかるのが、家庭用生ごみ処理機を使うことで、家庭の食品ロスを減らすことにも意識が上るということだ。

食べ残したものや、冷蔵庫の中でダメにしてしまった食品などは、この家庭用生ごみ処理機で乾燥させることになる。当然、目の当たりにするので罪悪感にさいなまれる。「減らそう」と決意する。

日本で最初に「食品ロスダイアリー」に取り組んだ兵庫県神戸市では、1週目よりも2週目、2週目より3週目に食品ロスが減るという結果を得ている。捨てた食べ物を記録し、見える化することで、ロスや無駄は減らすことができる。

参考:

環境省 食品ロスダイアリー

”ごみ”をごみにしないベジブロス

前述の通り、「ベジブロス」は、生ごみを減らすことができる、一つの策だ。

ベジブロスに使うことができる、玉ねぎの皮や野菜の硬い部分など(筆者撮影)
ベジブロスに使うことができる、玉ねぎの皮や野菜の硬い部分など(筆者撮影)

多くの家庭で”ごみ”にしてしまっている、玉ねぎの皮や、グリーンピースのさや、にんじんの皮など。これらをまとめて冷凍保存しておいて、ある程度の量がたまったら、煮出して、塩・こしょうして「ベジブロス」(だし)として使うことができる。こうすれば、かなりの量の生ごみを減らすことができる。

煮出したベジブロス。海老の殻なども入れると厳密な「ベジ」とは言えないが、いい香りのだしがとれる(筆者撮影)
煮出したベジブロス。海老の殻なども入れると厳密な「ベジ」とは言えないが、いい香りのだしがとれる(筆者撮影)

ベジブロスは、スープやリゾットなどに使うと、コクがあってとても美味しい。

日本のごみ処理に費やす税金は毎年2兆円

毎年、3月末に環境省が発表している一般廃棄物の排出及び処理状況等によると、平成30年度のごみ処理にかかった費用は、2兆910億円と、年間2兆円を超えた(平成29年度は1兆9,745億円)。これを国民1人当たりに換算すると一人あたり15,500円。コメ1kgを600円とすれば、15,500円あれば、25kg以上買うことができる。

日本のごみ処理費の推移(環境省2019年3月発表、一般廃棄物処理事業実態調査の結果・平成29年度より)
日本のごみ処理費の推移(環境省2019年3月発表、一般廃棄物処理事業実態調査の結果・平成29年度より)

日本フードエコロジーセンター社長の高橋巧一さんは、この処理費のうち、40~50%は、水分を多く含む食品関係ではないかと推察している。ということは、8000億円~1兆円が食べ物ごみ処理に使われていることになる。この中には、まだ十分に食べられるものもあったはずだ。

この費用は、まぎれもなく、私たちが働いて納めている税金から捻出されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大予防で様々な事業が自粛される中、できる限り、削減できるコストは削減し、必要なところへ廻していきたい。

参考情報

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン(株)青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で食料廃棄に憤りを覚え、誕生日を冠した(株)office3.11設立。日本初のフードバンクの広報を委託され、PRアワードグランプリソーシャルコミュニケーション部門最優秀賞へと導いた。『食品ロスをなくしたら1か月5,000円の得』『賞味期限のウソ』。食品ロス問題を全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして2018年、第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門受賞。Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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