「銃の民主主義」 アメリカ大統領選挙がわたしたちに教えたもの
ゴルフクラブと温暖化ガス
アメリカの長期戦略の一つには、かつてソビエトをペレストロイカから解体へと導いた経験があるのだろうが、中国が同じ道を歩むとは限らない。人間の性格がDNAとともにあらゆる人生経験(文化経験)から出来上がっているように、国家の性格も、その構成員の性格とともにあらゆる歴史経験(文化経験)から出来上がっている。他国にその性格を強要するなど、簡単にできることではないのだ。 さて米中関係は別としても、バイデン氏の勝利によって、世界の趨勢に自国第一主義からの多少の揺れ戻しが見られる。ヨーロッパの首脳たちも歓迎ムードだ。その意味でトランプ氏と関係の深かった安倍前総理の辞任はタイムリーであった。 僕は、菅総理が所信表明演説において、温暖化ガスに対する具体的な目標を示したことは、日本のマスコミの扱いよりもはるかに大きな意味をもつと考えた。いつも曖昧な日本の政治姿勢としては珍しいことであり、何よりも有言実行で知られる菅義偉という政治家の公式な言である。そしてやはり温暖化対策を重視するバイデン氏の勝利によって、これはクリーンヒットとなったのではないか。 トランプ氏には「金のゴルフクラブ」、バイデン氏には「温暖化ガス対策」、それぞれの性格と政策に応じている。日本の総理も捨てたものではない。日本学術会議の問題は「学問の弾圧」と批判される面もあるが、幸か不幸かそれほどのイデオロギー性はなさそうだ。世界の現実の厳しさを考えれば、まあまあの民主主義というべきかもしれない。もちろん、太平洋戦争時のような社会にはならないという前提つきで…。