「はやぶさ2」カプセル回収 JAXA会見(全文6)「銀河鉄道999」みたいな世界が
若い世代に探査や航法誘導の面白さを伝えて
NVS:NVSの斎藤です。今回、カプセル回収おめでとうございます。今回「はやぶさ2」のミッションを見てきて、若い世代の方もかなり興味が持たれたと思います。深宇宙探査において、例えば航法誘導がかなり発展してきて、例えばこの時間、位置と速度が分かって、速度をこれだけ変えれば地球のこの位置に落とせます、カプセルを落とせますという非常に精度の高いことをどんどんやってきているわけですけれども、そういったところの航法誘導や位置決め、精度を出していくというところの探査、宇宙探査において、何か若い世代、これから宇宙探査の業界を目指してたいと思っている世代に対して、なんか探査の面白さとか航法誘導の面白さとかっていうのを、國中先生と津田プロマネに一言ずつお願いしたいと思います。 國中:先やって。 津田:じゃあ先に振られたので。いや、私が宇宙探査というか、宇宙工学で最初に面白いと思ったのはまさに軌道力学で、それはまず天体から天体に飛ばすときにはどういう軌道を取ればいいのかと。だけどそれは、そのためにはどこを飛んでいるかっていう航法ですね。それから制御という意味では誘導。これが全部必要で、これを、基本的にこれらって全部コンピューターの、パソコンの中でできるんですけれども、それがああいう、あの大きな太陽系の中での飛行につながる、実際のミッションに直接つながるっていうのは、私自身は非常に面白い分野だなと思います。特に今回の「はやぶさ2」の場合は、それをイオンエンジンで成し遂げるっていうことで、扱いは難しいんですけども、数字、計算上の扱いは難しいんですけども、それだけやりがいのあるものでした。
何を準備したらいいのかも分からないのが醍醐味
なので、これ宇宙を自由に飛行する、ある星からある星に航路を結んで、そのとおり進むっていうのは、宇宙航行というか宇宙旅行、宇宙飛行そのものですよね。それに直接的に関われるっていうのが、私が面白いと思う航法誘導というか、軌道力学の世界かなと思います。 國中:探査ですよね。探検するっていうことなので、究極を言うと分かんないこと、分かんないところに出掛けていくので、いったい何を準備したらいいのかも分からないっていうのがやっぱり探査の醍醐味なんじゃないかなと思います。「はやぶさ2」で着陸するところがないっていうのも、ある意味、リュウグウの情報っていうのはまったくなかったわけですよね。同じく「はやぶさ」で行ったイトカワの情報もまったくなかったわけですよね。だからイトカワの情報を駆使して、リュウグウはこんなになっているんじゃないかなと思って、きっと平らなところがあるでしょうって思ったらなかったわけですよね。だからそこでそれをさらに、そうなんだけど、そこを工夫してやってのけたっていうところが探査の一番の面白みなんじゃないかなと思います。 もちろん手ぶらでは行けないし、イオンエンジンがなければ行けないし、誘導航法の技術がなければ行けないんだけれど、それプラスアルファ、未知の領域に進出するっていうことが、もちろん知っている情報、集められる情報を集めるだけ集めて、それを分析するんだけれど、で、その根拠をもって設計して、どっかに出掛けていくんだけども、初めてのところに行くんだからたぶん知らないことに出くわすんですよ。それをどうやって克服できるのか、持ち合わせた能力を組み合わせてどう克服するのかっていうところがやはり探査の醍醐味かなと。「はやぶさ2」も、ある意味それを実証したと思います。 で、どんどんこのあと、月の極に降りるんだとか、火星の表面に降りるんだとか、フォボスに行くんだとかっていうことをやるわけですけれど、きっと同じようなことが起きて、考えもしなかったっていうことが起きるけど、僕らのやってきたことを見ている、見ていた若い人たちがきっとそこに感化されて、影響されて、挑戦してくれるといいなと思っています。