「はやぶさ2」カプセル回収 JAXA会見(全文6)「銀河鉄道999」みたいな世界が
「はやぶさ2」に関わった企業の力への評価は
日刊工業新聞:日刊工業新聞の冨井と申します。よろしくお願いします。ちょっとこの6年間振り返ってというところで、宇宙開発は企業の力が大事だと思います。それで「はやぶさ2」に関わった企業の力をどう評価されているかというところと、企業の力を使って今後、宇宙探査、宇宙開発、どのように進めていくべきか、どういうふうに考えられているのか、なんかご意見いただければ、よろしくお願いします。 國中:われわれの、JAXAの中でもいろんなタイプの衛星をつくっておる部門が分かれております。特にその中にありまして、宇宙研の分担する部分は、やはり挑戦的な部分をかなり伴った挑戦的な探査機、衛星をつくるというところがわれわれに課せられた課題だと思っております。われわれは大変難しい、トップランナーとして新しい技術開発をし、それを実証するというところがわれわれの持っているところだと思います。逆に言いますと、そういった宇宙科学のための衛星探査機というのは、ある意味10年に1回ぐらいしかつくらないわけですね。だから「はやぶさ」や「はやぶさ2」のようなつくり方というのは珍しいつくり方というふうに言えるかと思います。 で、やはり企業の力というのは、非常に難しい技術開発をするだけではなくて、それをサイクリックに何回も短い期間でつくり上げて、それをつくるためのラインや人を養っていくという、育てていくという、そういったPDCAを速いサイクルで回すということが企業力を高める大きな道筋だと思います。ですからちょっと宇宙科学研究所のポジションだけでは企業力を発展させるのはちょっと難しいかなと思います。 そういう意味で言いますと、JAXA全体としては、宇宙研がトップランナーとして非常に難しい領域の技術開発を先導し、で、その技術をスピンオフさせて、いわゆるオペレーショナルサテライトというんでしょうか、地球観測衛星であるとか静止衛星であるとかといったところに転換できるようなスキームがあってこそ企業力というのは養われ、維持され、発展していくんだと思うので、宇宙研だけではちょっとそれはやり切らない。ただ、JAXA全体としては、それができる方向で持っていきたいと思っています。で、最後には、もうJAXAの応援や縁故から切り離して、企業が自立、自活して、自分の技術を海外にどんどん売っていくというような産業にしていかないといけないので、つまり最初から最後まで全部JAXAでやれというのは無理な話だし、それを宇宙研でやれというのも無理な話だと思っています。答えとしては、私はそういうふうに考えています。 司会:それでは立っている方どうぞ。すいません。