形見ベルサーチで「野村克也氏をしのぶ会」に参列した日ハム新庄監督はノムさんから何を学び何を誓ったか…二刀流挑戦の真相
新庄氏は、野村氏から何を学んだのか。 「野村さんから教えてもらった。タイガース時代の“ノムラの考え“というものをものすごく今インプットしている」 阪神の監督になった野村氏は、長時間のミーティングは「今の選手には合わないかも」と、これまでのミーティングの中身を分厚いファイルにまとめた「ノムラの考え」を全選手に配った。新庄氏が、今でもそれを持っているかどうかは不明だが、その「ノムラの考え」を監督として生かしているという。 「ファンあってのプロ野球だとよく言っていた。メディアを使ってコントロールする考えを持っていた方。なるほどなあと。今(自分が)監督として発言していることも、選手に伝えたいという気持ちもある」 野村氏は新聞やテレビを通じて“ぼやき”というメッセージを発信していたが、新庄氏は、今の時代らしく、SNSを積極的に使ってユニークな発信を続けている。それは日ハムの認知度をアップさせると同時に選手へのメッセージでもあるのだ。 阪神時代に、チーフスコアラーを務め、ノムさんと新庄氏の関係を近くで見続けてきた三宅博氏は、BIGBOSS語録に野村イズムを感じるという。 「新庄が今話していることはまるで野村さんに生き写しだ。入団会見で、優勝は目指さない。9月で優勝争いをしていたら、さあ優勝を目指そうと、気合が入ってくる、というような話をしていたが、あれも野村さんが阪神時代にずっと言っていた言葉。当時の新庄は、なにもわかっていなかったと思う。でもメジャーにいって苦労し、日ハムに帰ってきたくらいから、ようやく野村さんの言うことがわかってきたんじゃないか。去年野球を勉強したということを言っているけれど、頭のいい男だから、まるっきり聞いていないように見えたミーティングの話が、どこかに全部残っていたんやろうね」 三宅氏は、新庄氏が阪神時代にトライした二刀流の裏話を明かす。 「野村さんは、阪神を変えるのは新庄を変えることだと考えていた。配球の読みというものに興味を持たせるために投手をやらせているとハッキリ言っていた」 ノムさんが新庄にこんこんと説教をしていたのを隣で聞いたこともある。 「ピッチャーって難しいやろう。マウンドに立ったら、思ったところへ投げれんやろ。一流投手でもそう。必ず失投があるということや。なんでもかんでも振っていないで、必ず打席のなかである失投をとらえればええ」 形を変えて野球を教えたかったのである。 祭壇に献花を投げた新庄氏は、あの日の「ノムラの教え」を思い出していたのかもしれない。