なぜ侍ジャパンの新監督に栗山英樹氏が選ばれ二刀流スター大谷翔平の代表入りに「必要ですか?」と逆質問をしたのか
侍ジャパンの新監督に前日ハム監督の栗山英樹氏(60)が就任することが2日、都内ホテルで発表された。“栗山ジャパン”の目標は、2023年3月に開催される予定のWBC(ワールド・べースボール・クラシック)制覇。会見に出席した栗山氏はWBCでのV奪還と「魂が伝わる見ている人が感動するチーム」を理想像に掲げ、また注目のエンゼルスの二刀流スター、大谷翔平(27)の代表入りについては代表質問者に「必要ですか?」と逆質問をするなど独自の理論を展開した。来年3月5、6日に東京ドームでチャイニーズ・タイペイと強化試合を行うことも合わせて発表された。
栗山氏が3つの選考条件を満たす
なぜ栗山氏だったのか? オールプロでの挑戦となってからの侍ジャパンの歴代監督はアテネ五輪予選に挑んだ長嶋茂雄氏から始まり、2006年の第1回WBCで優勝した王貞治氏、2008年北京五輪で惨敗した星野仙一氏、2009年の第2回WBCで連覇を果たした原辰徳氏、山本浩二氏、小久保裕紀氏、東京五輪で金メダルを獲得した稲葉篤紀氏とつながれ、栗山氏が継承することになった。 侍ジャパン強化委員会の井原敦委員長の説明によると、東京五輪後の9月7日に第1回の強化委員会が開かれ、新監督の人選方法、目標と任期、新監督に求める資質の3つが議論され、目標が2023年のWBCでの世界一奪回に定められた。さらに議論を深めるため分科会が設立され、その目標から逆算して新監督に求める3つの条件が絞り込まれたという。 (1)NPBチームの監督もしくは日本代表経験者(2)全国的な発信力がある(3)野球界全体を考える見識と侍事業への理解がある。 その中で元巨人監督の高橋由伸氏や、豊富な代表経験がありヤクルトでヘッドコーチを務めた宮本慎也氏らの名前がリストアップされたが、過去の監督経験者や、識者の意見なども聞き、3回の議論を重ね、栗山氏に1本化した。 井原委員長は、栗山氏に絞った理由を「2023年のWBCを目標とするならば、強化試合が6試合程度しか見込めず、NPB監督経験者で短期決戦の経験が豊富な方がいいのでは?となった。栗山氏は日ハムで2012年より10年の長きにわたり監督を務めて豊富な経験をお持ちになり、リーグ優勝が2度、2016年には日本一も経験、CS(クライマックスシリーズ)にも5回出場して短期決戦の戦い方を熟知している」と説明。 さらに「発信力は皆さんがご存じのように申し分なく、日ハム監督に就任前には、テレビの高校野球番組への出演、取材の経験があり、少年野球大会を主催され、北海道には、天然芝球場を建設されており、グラスルーツの活動や少年野球の育成にも熱心。これ以上の適任者はいない」と、3つの条件をすべて満たしていることを付け加えた。委員会では11月上旬に監督を要請。本人の了承を得て、この日の発表になった。