【ABC特集】「魚をさばいたこともなかったが…」29歳で会社員から魚屋に転身 亡き父のように 地元のお客に寄り添う3代目「鮮魚の行商」に密着
努力の跡は、千恵子さんの手にくっきりと刻まれていました。 (千恵子さん)「ケガだらけなんですけど…妙なヒレとかが刺さるんですよね。爪はどんどん深爪になって痛いんですよ。貝殻とか“えぐる”作業が多いから、なんかどんどん短くなっちゃうんですよね」
そんな行商をやっていくことの難しさを知る、お母さんは・・・ (母・有佳子さん)「『こんな(大変な)ことを仕事に』と思ったときはさすがに複雑でしたね。主人が亡くなったことによって、そういう(後を継ぐ)ことを(娘が)考えてくれたということが悲しかった」 「娘にはほかの道もあったのではないか」と今も思い悩むときがあるそうです。しかし、千恵子さんは・・・
父の背中を追って地域に愛される魚屋をめざす
(千恵子さん) 「(カツオの切り身を味見して)うまっ!お母さん、カツオめっちゃくちゃおいしかった」 「これホンマにいいタイです。今の時期もっと痩せている。お値打ちにいい魚が買えたときは最高の気分ですね」 大変そうではありますが、充実した毎日です。 (千恵子さん)「私がこの仕事に向いてたんだと思います、ほんまに。お客さまがすごく喜んでくれる、感謝してくれる。たかが魚なんですけど、それがやっぱりうれしいですね」
おいしく食べてもらうためには、努力を惜しまない。千恵子さんが目指す姿は、幼い頃に見た父の背中と重なります。 (千恵子さん)「家でしか知らなかったんですけど、お父さんの姿って。同じお客さんと毎日のように接するわけだから行商って。すごく大変だと思うんです、人間関係とか。地域でも愛されないといけないし。お父さんが一生懸命やってきた姿っていうのは、今もすごくよくわかりますし、そういう背中は見てきたので見習って。まだまだ父の背中には追いつけてないと感じるので、そういう姿を目指してやっていきたいですね」 鮮魚の行商、下岡千恵子さんにとってお仕事とは? (千恵子さん)「一生続けていくこと。ほんで人に喜ばれること。それが私の仕事ですかね」 (『newsおかえり』2024年8月5日放送分より)
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