【ABC特集】「魚をさばいたこともなかったが…」29歳で会社員から魚屋に転身 亡き父のように 地元のお客に寄り添う3代目「鮮魚の行商」に密着
転機は突然 父の後を継ぐと決意
京丹後市で生まれ育った千恵子さん。 大学時代は京都市内で過ごし、その後大阪の会社に就職。家業を継ぐつもりはまったくなかったといいます。 しかし・・・
(千恵子さん)「父です。もうすぐ5年ですね。何か大病をずっと患ってて亡くなったとかではなくて、急だったんで」 5年前「丸友鮮魚」の先代で、父の與昭(ともあき)さんが突然脳梗塞で倒れ、1ヵ月後に亡くなったのです。 (千恵子さん)「それから母と一緒に『お客さんにお礼を言って回ろう』みたいな感じで。その中で、お客さんの声を聞いて『継ごう』と」 お客さんから聞こえてきたのは、多くの「続けてほしい」という声でした。
当時、魚どころか料理の経験もあまりなかったという千恵子さんですが、父・與昭さんが大切にしてきたお客さんとの絆と、ひいおばあちゃんの代から続く営業スタイルを守っていくと決意。 半年間、兵庫県の鮮魚店で修業を積んで、ふるさと「間人」に戻ってきました。
お店を持たない“行商”スタイルで営業
【10:30AM】 「丸友鮮魚」には、創業当時から魚を売る店舗がありません。 千恵子さんが受け継いだ伝統の販売方法というのが「行商」という、お客さんを訪ねて魚を売って回る昔ながらの販売方法。千恵子さんによると、いまも間人では10軒ほどが営業しているそうです。
出発から約30分、隣町に住む得意先のお宅に到着。クーラーボックスには、その日の仕入れなどから、千恵子さんが「これぞ」と思った鮮魚や干物がびっしりと。 (常連客)「これお造りいける?」 (母・有佳子さん)「いける。いけます」 (千恵子さん)「間人のシロイカです」 (常連客)「そっちにしようか」 運んでいける数や種類は決して多くはないので、千恵子さんの“魚を選ぶ目”を信頼してもらえるかが売り上げを左右します。
こちらのお得意さんは、先代からのお付き合い。ハタハタやカレイなど計4200円分をお買い上げ。 (先代からの常連客)「ご主人が急に亡くなられて、娘さんが継がれるということで『またおいしいお魚が食べられる』と思って」 回るのは、京丹後市や与謝野町などにある約80軒のお宅です。
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