優勝”本命”急浮上の横浜DeNAが挑むITデータ野球革命
いよいよ今日プロ野球が開幕するが、優勝候補として下馬評が高いのが横浜DeNAだ。プロ野球ではITを使ったデータ野球が進んでいるが、横浜DeNAでは、2017年にチーム戦略部の中にリサーチ&デベロップメント(R&D)グループを立ち上げ積極的に取り組んできた。新型コロナウイルスの影響による自粛期間を有意義に使いリモートでのミーティングを重ねてきたという。最先端を走るITデータ野球が横浜DeNAのリーグ制覇を後ろから支える”無形の力”となるのかもしれない。
重ねたリモート会議
ピンチをチャンスに。 チーム戦略部部長を務める壁谷周介氏は自粛期間だからこそ仕掛けた。 「時間がたくさんあったので、今まで蓄積していたデータの統計的な分析をR&Dのデータサイエンティストが行い、現場でどう使うか、という点をゲームアナリスト(以下アナリスト、他球団ではスコアラー)と集中的に議論しました。シーズンが始まるとなかなかそういう時間は持てないんです。客観的なトラックマンデータから、ある手法を使って分析すると、相手の強み、弱みといった傾向がわかるんです。我々独自の分析指標があります。昨年ファームで試験的に導入したのですが、コーチ間の評価が高かった。ぜひ今年は1軍でやってみようと」 すべてリモート会議。 アナリストが試合で取ってくるデータは部分的に主観的なものだが、そこに広島以外の全球場に設置されている軍事用レーダーを使った追尾測定システム「トラックマン」が取ってきた客観的データの独自分析を加味することで新たな攻略の道筋が見えてくるというのだ。 またチームの主力投手のオープン戦のデータを分析、投手コーチと選手を交えたミーティングも「ZOOM」を使って行った。「例えば配球、球種選択ですね。もっと、こんな球種を使えば有効ではないか、というような議論です」と壁谷氏。 活動に制限がある間も”頭の野球”のトレーニングは進んでいたのだ。 ITを活用したデータ野球を積極的に推し進めている横浜DeNAでは、6人のその道のスペシャリストがデータ収集、分析、活用を行っている。阪大卒の元金融マンや統計学、動作解析の専門家など、その分野の精鋭を集めた。 「うまく導入して活用しているか、と問われれば、全然足りていません。ただ野球というスポーツにはスポットライトを当てる場所がまだまだあることは確か。そこでつかんだヒントをグラウンドでカタチにする場面がたくさん出てきて、やる気、勝利につながればという期待はあります」 三原球団代表は、まだ課題が山積みだと強調するが、チームのデータ戦略のハイテク化は年々進化している。