「ゴルフ界のアイドル」がまさかの敗退で大号泣…!来季の「職場」を確保するための「最後の戦い」、女子ゴルフ「最終予選会」出場選手たちの「本音」
次々と新たな才能が現れる女子ゴルフ界では、生き残るための競争も年々激しさを増している。ツアー出場権を獲得し、華々しい表舞台に立つのは誰か。緊張感漂う「年内最後の戦い」に密着した。 【写真】世界が驚愕…シブコの鍛え上げられた 「圧巻ボディ」奇跡のショット!
何をやってもうまくいかない
11月26~29日に「葛城GC」(静岡)で開催された「QTファイナルステージ」。4日間を戦い、最後のパットを決めた菅沼菜々(24歳)は、ホールアウト後、がっくりと肩を落とした。通算21オーバーの102位。試合後、菅沼は大粒の涙をこぼしながらこう声を絞り出した。 「何をやってもうまくいかない。本当に悔しい。今はゴルフをやりたくない感じです……」 昨季は2勝。「ゴルフ界のアイドル」を自称するなど、可憐なルックスと個性的なキャラも相まって女子ゴルフ界のニュースターと目されていた。だが今季は、29試合中予選落ち16回と絶不調に陥り、QTファイナルでも復調はできなかった。菅沼の号泣は、女子ゴルフ界の「新陳代謝」がいかに激しいかを物語る象徴的なシーンだった。 QTファイナルとは、今季の「メルセデス・ランキング」で50位以内に入れずシード権を失った選手や、プロテストに合格したばかりの新人たちが来季の国内女子ゴルフツアーの出場権をかけて戦う最終予選会である。いわば、女子プロゴルファーたちが来年の「職場」を確保するための「最後の砦」というわけだ。
ここに来ることは嫌です
今回のQTファイナルには104人が出場し、35位前後に入れば来季のツアー前半戦の出場権が得られた。通常の大会とは違い、無観客なうえコーチを帯同することもできない。孤独なラウンドの最中、現場の空気はピンと張り詰めており、選手の表情にも緊張の色が見えた。 そんななか1位通過を決めたのは、今季、2年間守ってきたシード権を落とした永井花奈(27歳)。通算7アンダーの好成績だったが、 「ここに来ることは嫌ですし、あまり楽しいものじゃない。ただ、最悪だっていう感じではなかった。(来季の)最終目標は優勝。ここ数年は開幕戦からの試合がまったくダメなので、今年のオフはしっかりやらなきゃいけないと感じています」 と、プレッシャーがあったことを認め、来季に向けて気を引き締めた。 出場選手のなかで注目度が高かったのが、姉・優利(24歳)と妹・鈴(20歳)の吉田姉妹だ。国内ツアーで3勝を挙げ、今季は米ツアーを主戦場にしていた優利は7位、鈴は36位と、そろって来季の出場権を確保した。 姉・優利が順当に突破した一方で、4度目のプロテストで今年合格を勝ち取った妹・鈴は、「すべては出し切れていない」と納得のいくラウンドではなかった様子。姉とのレベルの差も感じていたようだ。 「アプローチもパターも、ちょっとずつ(姉が)上回っている。その「ちょっとの差」を埋めるのがすごく大変だと思う」(鈴) 昨年のプロテストに5回目の受験で合格したプロ1年目の政田夢乃(24歳)もQTファイナルに出場。今季ツアーでは2位、4位に1回ずつ入り、可憐なルックスも相まって人気が急上昇した。QTファイナルでは通算1アンダーの9位に入り、来季の出場権を決めた。 試合後、政田は安堵した表情でこう語った。 「去年のプロテストが終わったあとは疲れ切っている状態で、何もわからないままで(QT)ファイナルにも来られなかった。今年はツアーで経験したことを活かしながらプレーできた。来年は優勝を目指したい」 後編記事『大きな理由はスマホ世代の登場…!女子ゴルフ界のレジェンドが明かした「上手すぎる若手」が次々と現れる「納得の理由」』に続く。 「週刊現代」2024年12月21日号より
週刊現代、金 明昱