優勝”本命”急浮上の横浜DeNAが挑むITデータ野球革命
2月の沖縄・宜野湾キャンプでは、ブルペンに「ハイスピードカメラ」「スーパースローカメラ」と呼ばれる1秒間に1000コマ以上撮影できる”新兵器”が持ち込まれたことがニュースになった。リリースの瞬間の指のかかり具合まで可視化できる。昨秋からは「ラプソード」という測定機器も導入した。こちらは、ピッチャーの投げるボールの回転数、3Dの回転軸、リリースポイント、バッティングでも打球の角度、速度、3D軌跡などが計測できる。 壁谷氏の説明によると「ラプソード」と「トラックマン」との違いは、利便性に加え、「3Dで回転軸が取れるのがラプソード。トラックマンでは奥行の軸が取れないのです。ボールが実際にどう回転して、どう曲がっているかを説明するのに必要なジャイロ成分もわかる」のが特徴だという。 またバットのグリップに装着する「ブラストモーション」というセンサーを採用。ボールに対してバットが入る角度、スイングスピード、トップでの振り出しからインパクトまでの時間、スイング軌道などをタブレット端末で瞬時に確認することができる。 データ取得、解析、分析はメジャーに近いところまで進んだ。問題は、その先。横浜DeNAが取り組んできたのは、そのデータをどう生かすかという部分。各球団共に答えが見つからず模索している分野である。 横浜DeNAは、昨年3月、アリゾナ・ダイヤモンドバックスと戦略的パートナーシップを締結したが、その狙いのひとつに先を行くメジャーのデータ活用法、コーチングとの関連性などのノウハウを得ようというものがある。 「メジャーでも、今までの経験、感覚だけで指導するコーチとデータ班が反目してしまうケースが少なくないようです。その中でダイヤモンドバックスは、それを融合させようと努力していました。そこはDeNAが進むべきところに近いかなと考えて提携させてもらったのです。どんないい道具を持っていても、それをうまく使いこなせないと意味がありません。そういう指導者を育成するのも大きな仕事です。ただ全コーチに“データを使いなさい!”と傲慢なことを言うつもりはありません」と、三原球団代表。