【独占】ソフトバンク”熱男”松田宣浩が新型コロナ感染対策影響で「まだ30%の声しか出せない」のジレンマ
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期されていたプロ野球の開幕が6月19日に決定、今日2日からは東西に分かれ練習試合がスタートする。前代未聞のシーズンを前に選手は、今、どんな心境で開幕を迎えようとしているのか。リーグ優勝の奪回、日本シリーズ4連覇を狙うソフトバンクの”熱男”こと松田宣浩(37)の本音に迫った。
先が見えなかった日々
新しい1日のルーティンは起床後すぐの検温から始まる。 「新型コロナが広がり始めた2か月前から毎日、欠かさずにやっています」 当日の体温はチームに報告することになっている。 球場入りすると、再度、検温。ロッカールームへの出入りを含めてマスクの着用を徹底している。選手は、練習に入ればマスクを外すが、監督、コーチ、スタッフは、ずっと着用。練習中も、飛沫が飛ぶような大きな声は出さず、紅白戦で本塁打が出ても、ハイタッチなどの濃厚接触となる出迎えも控えるようにしている。 それがハッスルを代名詞とする“熱男“にとってはなんとも辛い。 「紅白戦が始まっても100パーセントの声が出せない。アップ中でもいつもの半分、いや30パーセントくらいしか声を出していません。ハイタッチも好きだけど、ハイタッチもできません。それじゃあ、人間、松田宣浩としてダメなんです。でも今は配慮をしなければならない時。難しいところですが、ジレンマがあります。全身で野球を行っている人間としては、プレーにも影響してきますから。シーズンに入ったときにどうするべきか…考えさせられます」 目に見えない新型コロナとの戦いにジレンマがあるというのだ。 ソフトバンクは3月31日から4月8日まで活動を完全に停止させた。 「その間はずっと家にいました。ステイ、ステイ、ステイです」 自宅に作ってあるトレーニングスペースを利用して練習を続けた。 4月9日から個人練習が再開したが、全体練習が始まったのは、緊急事態宣言が全国で解除され6月19日の開幕がNPBから発表された5月25日になってから。 「正直、3か月も開幕が遅れるとは思っていなかったんです。自粛をしながら、与えられた時間で作ってきた体力を落とさないように練習を繰り返してきました。でも、そのときは先が見えなかった」 それでもモチベーションが失われることはなかった。プロ15年目。松田には「体にプロのシーズンカレンダーが染みこんでいる」からだ。 「本当なら今開幕から2か月が経過して50試合、200打席くらいが経過しているところです。今頃、どんな成績を出せていたんだろう、と考えていました。だから9日間の完全停止中にも1日たりとも無駄にしようと思わなかったし、そうはならなかったんです。12、1月のオフじゃない。気持ちを切ることはありませんでした」