シャープに聞く「AQUOS sense9」の進化と「AQUOS R9 pro」を作ったワケ 根底に“AQUOS R9の刷新”あり
初の「VARIO-SUMMICRON」レンズを搭載 65mmの望遠撮影をライカが推奨
―― レンズは、VARIO-SUMMICRONになっていますが、VARIOがついたのは初めてですよね。 清水氏 初めてです。他社にもVARIOとついているものはありますが、これはラテン語で複数という意味で、SUMMICRONレンズを複数持っているレンズシステムということです。1型をやってきた中でカメラを超えたいというコンセプトをお話ししましたが、ライカともそれはたくさん会話してきました。次はどういうものがあるべきかというときにライカから強力に推奨されたのが、65mmのテレになります。ポートレートは65mmが最高なので、間違いないと言われたことも、これを選んだ決め手になります。 ただ単に焦点距離だけを65mm相当にするのではなく、メインでポートレートを撮りたいとなるとやはり画質も必要なので、センサーサイズは1/1.56型にしており、メインのカメラとして十分使っていただけるものになっています。 ―― これまでは1型のセンサー1つで切り出しやリモザイクで画角を変えていましたが、3つに分散したことの効果はありましたか。 清水氏 AQUOS R8 proまでは普通のスマホの中で、一番いいカメラを目指していたので、ここまでゴテゴテにはできませんでした。見た目も普通のスマホの範囲に収めなければいけないという、ある種バイアスのようなものがあったからです。その中で、1型センサーだけで全領域を撮るという提案をしていました。今回は振り切る方向にかじを切ったので、カメラとしていろいろな被写体を最高の画質で撮れるものが必要と考え、超広角と望遠を付けています。 中江氏 今までは、1型センサーを最大限活用したかったという思いもありました。光学性能はいいので、あらゆるシーンで使えるからです。しかしながら、やはり被写体と画角の関係を考えたとき、普通の一眼カメラでもレンズを変えますよね。さまざまなものが被写体になるので、1つのカメラだけだとやはり厳しい。最適な状態で撮れることを目指すと、おのずとこの構成になりました。 ―― 望遠は切り出しよりも解像感も上がるのでしょうか。 清水氏 1型からクロップよりも、1/1.56型をそのまま使った方が高くなります。 中江氏 レンズの影響もあります。1型をさまざまなところに使おうとすると、ゆがみや周辺減光でやはり無理をしてしまう。その意味では、広角の1型をよりいい状態で使えることにもなって、よかったと思います。 ―― なるほど。広角なら広角で決め込んでレンズを作った方がいいということですね。 中江氏 はい。1型で超広角も標準もとやっていくと、超広角側に合わせて無理をした設計になってしまいます。